【メンズ向け】スーツのボタンを正しく留めるときの8つのポイント
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ボタンの留め方にはルールがあります
正式な着方に於いて、1つボタンのフォーマルなブラックスーツの場合を除けば、スーツのジャケットのフロントボタンを、すべて留めることはありません。2つボタンや3つボタンのシングル、ダブルのスーツの場合でもそれぞれに正しい留め方があります。
もともとボタンには「留める」という機能とは別に「装飾」という意味合いもあり、付いていなくても成立することが多いのです。たとえば袖口のボタンなどはその好例です。3つまたは4つというのが一般的ですが、イギリス式には2−2の4つボタンという仕様もあり、これは軍隊の制服の仕様を継承したものと言われています。ラグジュアリーブランドのなかには袖ボタンを5つ使うもの、南イタリアのサルトリアでは「重ねボタン(キッスボタン)」といわれる、ボタンが少しずつ重なって斜めに立ち上がる仕様になっているものなど、数も付き方も様々です。「本切羽」といってボタンを外せば袖口がシャツのカフスのように開くものもあれば、「開き見せ」といってボタンホール状にステッチを飾るだけの場合もあります。
クラシックなシングルスーツでは2つまたは3つボタンが一般的です。ただし近年は3つボタンの場合、ラペルが中ボタンの上から返っていて上ボタンがラペルの裏に隠れる「段返り」という仕様が主流となっています。ダブルのときは4つボタン、6つボタンとも、留めるボタンは1箇所と相場が決まっていますので、以下で順次ご確認ください。
2ボタンは上1つを留める
2つボタンシングルのジャケットは、上ボタンを1つ留めます。下ボタンを掛けるとジャケットの裾がすぼまってしまい不格好です。これは「アンダーボタンマナー」といい、ジャケットの裾が適度に開くように、下ボタンは装飾と考えるのがよいでしょう。
3ボタンは上中2つを留める
3つボタンシングルのジャケットは上と中、2箇所のボタンを留めます。ただし、これはラペルが上ボタンの上部から折り返っている、Vゾーンの狭いタイプのジャケットに限ります。
3ボタン段返りは中1つを留める
中ボタンの上部からラペルが折り返り、上ボタンがラペル裏についているタイプのジャケットを3ボタン段返りといいます。このタイプのジャケットは中ボタンをひとつだけ留めます。
4つボタンダブルは上1つを留める
ダブルのジャケットのなかでもスポーティなタイプの4つボタンは、右側2つは飾りボタンなので、左側ボタンの上1つだけを留めます。左下ボタンも留められますが、あえて外したほうが着こなれた風です。右前の内側にもボタンが付けられてますが、これは右前身頃がズレないようにするためのボタンなので留めておきましょう。
6つボタンダブルは中1つ、または中下2つを留める
クラシックな6ボタンのダブルは、左側3つと、右側の一番上は、相方のボタンホールが無いので完全に飾りです。そのため右中をひとつだけ留めます。さらに右前内側のボタンも留めます。構造的にはシングルのジャケットと違い、右下ボタンを留めることができますが、4つボタンダブルと同じ理由で外すことが多いようです。
ダブルには下1つ掛けという着こなしテクニックもあります
先程も触れましたが、ダブルは右下ボタンを留めてもシルエットが崩れることがない構造のものが多いため、右側のボタンを2つ留めても構いません。しかし2つ留めるとかっちりしすぎる印象となるため、最近のやわらかく丸いシルエットのダブルには似つかわしくないと考える人が多いようです。そのため、よりリラックスした雰囲気に着たい場合、右下のボタンをひとつだけとめて、Vゾーンを広く見せるテクニックで着る人もいます。この場合、右前内側のボタンは外して、ちょっと着くずした風に見せるとこなれて見えます。
ベストの下ボタンは留めるものと留めないものがある
スリーピースなどのベストの場合、一番下のボタンは留めるものと留めないものの2種類があります。間隔が離れて付けられているものは飾りボタンなので留めなくてよいのです。
座る時にボタンを外すのはマナー
オフィスなどで椅子に座る時、ジャケットのボタンはすべて外して構いません。重要な商談など、ボタンを外すことが躊躇われる場合もありますが、ボタンを留めたまま椅子に座ることでジャケットに不格好なシワが入ることを避けるためです。