スーツは自宅で洗濯できる?原則クリーニングだが、自分で洗う時の手順を解説
スーツは基本的にクリーニングに出すものですが、ポイントを押さえれば自宅での洗濯も可能です。清潔な状態を保ち続けるために、正しい知識を身に付けておきましょう。洗う際の注意点や、上手な洗い方を紹介します。
INDEX
自宅でスーツを洗濯できる?
まずは、自分の持っているスーツが自宅での洗濯に対応しているのか、確認する方法や、自宅で洗うメリットを解説します。
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洗濯表示を見てマークを確認しよう
スーツを洗濯したい場合は、タグに記載されている洗濯表示をチェックしましょう。タグは、ジャケット・パンツともに、ポケットの内側などに付いています。
マークの種類には、『洗濯機使用可』『手洗いなら可』『水洗い不可』『ドライクリーニング可・不可』などがあります。
素材を確認することも重要です。シルクやカシミヤは、自宅で洗うと傷んでしまう恐れがあります。水洗い可能と表示されていても、クリーニングに出す方が無難です。
なお、日本の洗濯表示は平成28年12月1日より変更されました。マークのデザインが新しくなっているため、既製品は新旧混在した状態であることを覚えておきましょう。
洗濯表示(平成 28年12月1日以降) | 消費者庁自宅でスーツを洗濯するメリット
スーツを洗濯する方法は、自宅で洗うかクリーニングに出すかの二つに分けられます。自宅での洗濯は、クリーニングに比べ出費を抑えられることがメリットです。
スーツをクリーニングに出すと、1着あたり数千円かかります。しかし、自宅で洗えば、その費用のほとんどを浮かせられるため経済的です。
手軽にできることや、時間がかからないことも、自宅で洗濯するメリットです。高頻度で着まわしたいなら、自宅で洗えるに越したことはありません。
クリーニングの場合は、持ち込んだり取りに行ったりする手間がかかる上、仕上がるまで時間がかかるケースもあります。
スーツを洗濯する前に確認すること
スーツをきれいに洗うためには、事前にいくつかのことをチェックしておく必要があります。特に、以下に挙げる三つのポイントは、しっかりと確認しましょう。
色落ちしないか
スーツを洗濯する前に、色落ちしないかどうかを確認しましょう。色落ちしやすいスーツを繰り返し洗濯すると、色が薄くなってしまいます。
色落ちのしやすさを確認するために、まずはズボンの裏側など色が落ちてしまっても目立たない部分に、洗剤の原液を少量付けて5分ほど置いておきます。
続いて、洗剤を付けた部分にティッシュや乾いた布をあててみましょう。ティッシュや布に生地の色が移っているようなら、その生地は色落ちしやすいと分かります。
洗濯表示は、あくまでも素材の扱い方を示すものであり、色落ちするかどうかまでの判断はできません。上記の方法で色が移るようなら、自宅での洗濯は断念した方が賢明です。
ほつれや穴あきがないか
生地がほつれていたり穴があいていたりしていないか、事前に確認することも大事です。表側だけでなく、裏側もくまなくチェックしましょう。
洗濯機を使用する場合は、ほつれや穴あきから一気にダメージが広がりかねません。薄い素材やシルクなどの繊細な素材は、特に注意が必要です。
また、ボタンやファスナーが付いている衣類と一緒に洗う場合、それらがほつれや穴あき部分に絡んでしまうと、より傷みが激しくなることもあるでしょう。
ほつれや穴あきがあるスーツを洗う場合は、ネットに入れるのがおすすめです。ネットを使用した洗濯機での洗い方に関しては後述します。
ポケットの中に物が入っていないか
ビジネスシーンで毎日のようにスーツを着用していると、ポケットの中にいろいろな物を入れる機会も多いでしょう。
洗濯する前には、ポケットの中に物が入っていないか点検することも重要です。名刺や手帳などをそのまま洗濯機で回してしまうと、修復不可能な状態になってしまいます。
ティッシュペーパーが入っていた場合は、細切れがスーツ全体に付着し、取り除くのに相当な手間がかかります。
ボールペンやマジックなども注意が必要です。インクが漏れ出して生地に付着すると、クリーニング店のシミ抜き作業が必要な状態になる可能性もあります。
表側のポケットだけでなく、内ポケットの中もしっかりとチェックしましょう。
スーツの洗濯方法
家で洗濯可能なスーツの洗い方を紹介します。出張先でも簡単に洗える、ウォッシャブルスーツという種類があることも覚えておきましょう。
洗濯機で洗うときはネットを使う
スーツを洗濯機で洗う際は、ネットを使用しましょう。ボタンやファスナーを閉じた状態で、二つ折りまたは三つ折りにし、大き過ぎないサイズのネットに入れます。
『ドライコース』『手洗いコース』など、やさしく洗える洗濯モードを選べは、生地が傷みにくくシワも増えません。
洗剤を入れる際は、スーツに直接かけてしまうと、溶けずに残ったり色落ちしたりする恐れがあります。洗濯機の洗剤投入口に入れましょう。
脱水は、タオルで包み込んで水を吸い取る『タオルドライ』がおすすめです。洗濯機で脱水すると、生地を傷めてしまう可能性があります。
手洗いは押し洗いがおすすめ
スーツを洗濯機で洗うのが不安な場合や、洗濯機では洗えない表示が付いている場合は、手洗いで洗いましょう。
手洗いの場合も、ボタンやファスナーを全て閉じ、二つ折りか三つ折りに畳みます。洗濯桶に水を溜め洗剤を溶かした後は、押し洗いでやさしく洗うのがおすすめです。
押し洗いを数回繰り返したら、形を軽く整え、10〜15分程度つけおきします。その後、スーツ全体をひっくり返し、さらに10分程度つけおきしましょう。
つけおきが終わったら、水をかけながら押し洗いをする要領ですすげば完了です。洗う際もすすぐ際も、生地を傷めないようにやさしく押すことがポイントです。
ウォッシャブルスーツならシャワーでも
スーツの種類には、シャワーで手軽に洗える『ウォッシャブルスーツ』というタイプがあります。いつでも簡単に洗えるため、汗・におい・汚れをサッと取るのに便利です。
ウォッシャブルスーツを洗う際は、最初に上下とも裏返してハンガーにかけ、40度程度の温水シャワーを全体にかけます。時間の目安は2〜3分です。
続いて表に返し、同様にシャワーをかけた後は、水滴がなくなるまで1〜2時間程度干します。ある程度乾いた後、風通しの良い場所で陰干しすれば完了です。
シャワーをかけた後、スーツが濡れているうちに、シワをきちんと伸ばしておくことがポイントです。
洗濯後も丁寧に扱おう
自分で洗濯したスーツは、シワが取れにくいのが難点です。以下に挙げる干し方やアイロンのかけ方を覚え、よりきれいな仕上がりを目指しましょう。
スーツ用のハンガーで陰干し
洗い終わったスーツは、ハンガーにかけて風通しの良い場所に陰干しします。スーツの形を崩さないようにするためにも、スーツ用ハンガーか幅の広いハンガーを使いましょう。
プラスチック製や針金製のハンガーしかない場合は、タオルを巻いて太くするのも一つの方法です。
ハンガーにかける際は、生地を軽く伸ばしたり叩いたりして、できるだけシワをなくしておきましょう。洗い終わったらすぐに干すこともポイントです。
ジャケットの肩部分には、乾いたタオルを入れておけば乾きが早くなります。パンツはピンチハンガーを使って中に空間を作ると、より早く乾きます。
半渇きのうちにアイロン
アイロンがけは、スーツが完全に乾き切らない段階で行えば、よりしっかりとシワを伸ばせます。まずは裏側からかけ、その後に表側をかけることがポイントです。
スーツのシワは、水分があると伸びやすくなるため、スチーム機能を使用しましょう。洗濯表示でアイロンの温度を確認することも大事です。
アイロンをあてる部分には、必ずあて布をしましょう。ジャケットの肩やパンツの腰回りは、タオルを巻いて中に入れ、形を作りながらアイロンをあてれば、きれいに仕上がります。
パンツのセンターラインは、しっかりと折り目が付くようにアイロンをあてます。アイロンがけが済んだら、熱が冷めるまでハンガーにかけておきます。
スーツを長持ちさせるために
日頃のケアを入念に行うことで、スーツはより長持ちします。すぐに実践できる主なメンテナンスの方法を押さえておきましょう。
風通しの良い場所に保管する
スーツの保管は、風通しが良く直射日光が差し込まない場所がベストです。風通しが良ければ湿気が溜まりにくいため、カビや虫からスーツを守れます。
クローゼットや押入れの中に保管する場合は、防虫剤や除湿剤を置き、虫の発生や湿気への対策をしっかりと行いましょう。
保管する際は、ポケットを空にしておくことも重要です。型崩れやシワが起きにくくなります。
ジャケットをかけるハンガーは、肩先に厚みがあるものを選びましょう。吸湿性に優れた木製ハンガーを使用するのもおすすめです。
シワはスチームで伸ばす
スーツのシワは、アイロンのスチームで伸ばすことが可能です。ハンガーにかけたままアイロンのスチームをあてれば、シワが回復します。
スーツに水分を与えることで、シワを伸ばしやすくする効果とともに、脱臭効果も期待できます。直接アイロンをあてる際も、スチーム機能があれば蒸気を出すようにしましょう。
出張先などのホテルでスチームアイロンが使えない場合は、浴室の蒸気を利用するのも一つの方法です。
浴槽にお湯を溜め、浴槽から出る蒸気があたる場所にスーツをかけます。20〜30分ほど経過したらスーツを取り出し、シワを伸ばした後に陰干ししましょう。
ブラッシングでホコリを取る
スーツを着用した後は、ハンガーにかけた状態でブラッシングしましょう。ホコリを取り除くことで、虫が付きにくくなります。
害虫が好んで食べる素材は、ウールやシルクなどの動物繊維です。スーツの素材にはウールを採用しているものが多いため、こまめな害虫対策は必須です。ブラッシングには、市販の洋服ブラシを使いましょう。繊維の奥に入り込んだ汚れも落とせます。脱ぐたびにブラッシングすることで、より長持ちさせられるでしょう。
洗濯できないときはクリーニングに
自宅で洗えないスーツは、クリーニングに出しましょう。洗濯機や手洗いでなかなかきれいにならない場合にもおすすめです。
仕上がりがきれい
自宅での洗濯と異なり、クリーニングならきれいに仕上がります。落ちにくい汚れやにおいも、全て取り除いてくれるでしょう。
洗う手間がかからないことも、クリーニングの魅力です。代金を支払ってスーツを預ければ、あとはお店で処理してくれます。
クリーニングが仕上がるまでにかかる日数の目安は、ドライクリーニングで3日、水洗いで1週間です。
ドライクリーニングは、水洗いできない衣類を洗濯できる手法です。スーツの状態をお店で確認し、どちらの方法を選ぶか判断します。
1シーズン1回の頻度がベター
スーツをクリーニングに出す頻度は、夏用と冬用、汗をかきやすいかどうかなどにより異なります。
夏用のスーツは、裏地の背中部分がカットされた通気性の良いタイプです。2〜3日のサイクルで着用している場合、1ヵ月に1回を目安にしましょう。
厚めの生地を使用している冬用のスーツは、頻繁にクリーニングを行うと生地が傷みやすくなります。1シーズンに1回程度で良いでしょう。
汗をかきやすく、スーツににおいが付きやすい人は、さらにクリーニングに出す回数を増やすのがおすすめです。
時間がないときは宅配クリーニング
近年は、衣類を配送するだけで済む『宅配クリーニング』が人気です。近所にクリーニング店がない場合や、持ち込む時間がない場合に重宝します。
申し込みはインターネットで24時間受け付けており、所定の手続きに従って衣類を配送すれば、クリーニング済みの衣類が後日自宅に届きます。
お店への持ち込みと比べ、利用代金が高過ぎるということもありません。会社によっては、衣類の保管サービスがあることも魅力です。
スーツを洗濯してきれいに着よう
スーツは自宅で洗濯できるものがあり、タグの表示を見れば分かります。出費を抑えられることが、自宅で洗濯するメリットです。
自宅で洗う場合は、色落ちや生地のダメージに注意しましょう。洗濯機ならネットに入れて洗い、手洗いなら押し洗いで洗うのがおすすめです。
自宅で洗えないスーツは、クリーニングに出せばきれいに仕上がります。日頃のケアも忘れずに、常にきれいな状態のスーツを着用できるよう心がけましょう。