スーツでベストを着こなす基本知識。ポイントや選び方を解説
ビジネスシーンに欠かせないスーツですが、ベストを加えることでいつもとは一味違うおしゃれが楽しめます。「チャレンジしてみたいけれど、着方がよく分からない」という人もいるようです。そこで、ベストに関する基礎知識や着こなし術を紹介します。
ベストの基礎知識
スーツを着用する場合、ジャケットとパンツのツーピースでセットアップすることが多いでしょう。そこに「ベスト」を加えると、雰囲気が変わり新鮮な装いが可能になります。
着慣れない人の中には「トライしてみたいものの、よく理解していないため不安がある」という人もいます。
まずは、ベストにまつわる基礎的な知識について解説しましょう。
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そもそもベストとは
「ジレ」とも呼ばれる「ベスト」は、そもそも、上着と下着の中に着る中衣としてとらえられていました。今では袖がないタイプが主流ですが、かつては、袖付きで着用していたようです。
現代ではトップスとして着られるワイシャツですが、イギリスでスーツの原型が生まれた当時は、肌着としての役割を担っていました。
ベストは、肌着が見えないようにするための中衣だったのです。ベストの上に上着をまとい、ボタンを留めずにベストを見せる着こなしが一般的でした。
その後、18世紀に入ると上着の袖が次第にタイトになっていきます。シルエットの変化にともなって、ベストから袖がなくなったのです。これが、現代のベストのルーツといえます。
ベストの種類
ベストといっても、その種類は一つではありません。スーツと同様にシングル・ダブルなどのタイプがあったり、襟の有無に違いがあったりと、さまざまなスタイルがあります。
「シングルベスト」は、最もポピュラーなタイプで、スリーピースの原点ともいえるオーソドックスなスタイルが魅力です。
「ダブルベスト」は、クラシカルさとアバンギャルドさを兼ね備えたスタイルです。シックな雰囲気をたたえつつ、モード感も漂うタイプです。
「シングルラバルドベスト」のラバルドとは襟付きベストの総称です。そのシングルタイプには、中世ヨーロッパのようなノスタルジックさを感じることでしょう。
「ダブルラバルドベスト」には、貴族階級の紳士が備える重厚感があふれています。オーセンティックな紳士を目指すには打ってつけのベストです。
ベストのメリット
ベストを着用すると、『体を立体的に見せる効果』が得られます。このビジュアル効果は、ベストによる大きなメリットです。
ツーピースからスリーピースに装いを変化させることで、醸し出す雰囲気はガラリと変わります。おしゃれの幅を広げられる点も利点といえるでしょう。
ジャケットを脱いだときにも、ベストを着ていることでだらしなさを感じさせることもなく、きちんとしたイメージを保てる点でも便利です。
また、温度調節にも効果を発揮します。寒いときにはベストを活用し、暑さを感じたら脱ぐことで、体感温度を調整できるのです。
着こなしポイント
おしゃれ感をアップさせ、暑さ・寒さの調節にも便利なベストですが、無造作に選び、ただ着れば良いわけではありません。
ポイントを押さえた着こなしで、スマートにまとえるようにしましょう。
ベストだけになったときのシルエット
ベスト選びでは、ジャケットとのマッチングに意識が向きがちです。
しかし、上着を脱いで『ベストだけのスタイルになったときのシルエット』をしっかりイメージして選ぶことが大切です。
ジャケットを脱いだときに、シャツにしわが寄っていたり、生地がくたびれて見えたりすることもあるでしょう。
ベストは、そのような面をカバーしてくれる点で、とても効果的なアイテムなのです。
しかし、ベストそのものが体にフィットしておらず、不格好に見えてしまっては意味がありません。
ベストのみの出で立ちが、周囲にスマートに映るシルエットになるように配慮が求められます。
偉そうなイメージにならないよう注意
ジャケットをまとったスリーピースには、格式や重厚さが感じられます。堅実な仕事ぶりや実直さをアピールできる効果も期待できる装いです。
一方で、威圧感や圧迫感を相手に与えてしまう可能性があることは理解しておく必要があります。
初めて接する顧客とスリーピーススーツで面会して、「偉そうな人だ」という印象を持たれてしまっては、仕事にも悪影響が生まれてしまう可能性もあるでしょう。
それゆえ、関係性が確立されていない相手や、初対面の人との面談などでは、ベストの着用は避けるのが無難といえます。
ベストの選び方
一口にベストといっても、その種類は多様です。店舗やネットショップを眺めているうちに、「どれを選んで良いか分からなくなった」という声も聞かれます。
適切なベスト選びをするためのチェックポイントについて解説します。
サイズ選びが重要
ベストを選ぶ際の留意点は『体形に合ったベストを着ること』です。フィットするサイズを選ぶために、次のポイントをチェックしましょう。
まず、袖まわり(アームホール)には、適度な余裕を持たせます。タイト過ぎると腕の動きを制限しますし、ゆとりがあり過ぎるとだらしなく見えてしまいます。
適度な身幅のものを着ることも大切です。ボタンを留めたときに、ピッタリ過ぎると窮屈な見た目となり、余裕を持たせ過ぎるとルーズな印象になります。
着丈にも意識を向けましょう。ベルトが隠れるくらいが適切な長さです。また、ベストを着るときのマナーとして、一番下のボタンははずします。
ベストやボタンの色
生地の色は、ビジュアルにも大きく影響する重要な要素です。それだけに、シーンに合わせたチョイスが大切です。
ベスト初心者には、好みが分かれず、無難な着こなしを可能にしてくれるベーシックな『ネイビー』や『グレー』がおすすめです。
ボタンの色によっても、ベストの印象が変わります。生地とボタンの配色で、シックなイメージにもなれば、軽快なテイストを生むことも可能です。
ネイビーのベストで考えてみましょう。黒や同色の紺であれば、引き締まったビジュアルになります。一方、ブラウン系のボタンだと黒や紺とは少し違った、オシャレな印象を与えます。
背面の素材にも注目
ベスト選びにおいて、つい前方からの見た目や前面の素材にこだわりがちです。背面にも意識を向けておくと、より良いチョイスができるでしょう。
背面が切り替えのデザインであれば、ジャケットを脱いだときの姿がよりドレッシーに映ります。
さらに、快適さにも影響します。キュプラなどで切り替えているベストならば、暖かいシーズンにおいては、背中が蒸れにくいといったメリットもあります。
ベストの着こなしでイメージアップ
ベストは、ツーピースやジャケットなしのスタイルにアクセントを加え、おしゃれ度をアップさせられるアイテムです。
サイズ感やシルエットへの配慮に気を配るだけで、想像以上に簡単に合わせられることでしょう。
ポイントを押さえたベスト選びと着こなしで、スマートにイメージをアップさせましょう。