スーツをクリーニングする頻度や値段。正しいクリーニングの出し方
スーツのクリーニング方法には2種類あり、それぞれに目的が違います。クリーニングに出す際の頻度・料金・日数の目安や店舗の種類など、ポイントを押さえておきましょう。スーツのケア・保管方法も併せて解説します。
INDEX
スーツのクリーニング方法は2種類
クリーニングにはいくつかの種類があります。そのうち、スーツに施される主な方法は、「ドライクリーニング」と「ウェットクリーニング」の2種類です。
落としたい汚れが『油汚れ』の場合はドライクリーニング、『水溶性の汚れ』の場合はウェットクリーニングが、より高い効果を発揮します。
汚れの成分を見極めた上で、どちらを依頼するか検討することが大切です。
有機溶剤を使う「ドライクリーニング」
石油系の有機溶剤を使う方法が「ドライクリーニング」で、油汚れなどを落としたい場合に向いています。
水を使わないため、水洗いによる縮み・色落ち・型崩れのリスクを軽減できることがメリットです。ウールやカシミヤなど、水に弱い素材を使用したスーツにもおすすめです。
一方、デメリットとしては、食べ物のシミや汗など、水溶性の汚れを落としにくいことが挙げられます。回数を重ねすぎると、生地が傷みやすくなることにも注意が必要です。
油性ペン・化粧品・マヨネーズなど、油成分を含んだ汚れが付いた場合や、衣替えによりスーツを長期間保管する場合に、ドライクリーニングを検討しましょう。
水洗いをする「ウェットクリーニング」
40〜60度の温水で水洗いする方法が「ウェットクリーニング」です。食べ物によるシミや夏場の汗など、水溶性の汚れを落としたい場合に向いています。
家庭で行う洗濯とは異なり、クリーニング店の専門的な知識・技術を駆使して実施されるクリーニング方法です。
ドライクリーニングで使うような化学溶剤を使用しないため、生地の風合いが変わりにくいメリットがあります。臭いが残りにくく、生地へのダメージも最小限に抑えられるでしょう。
スーツに付いた水溶性の汚れが気になる場合や、家庭でスーツを洗濯するのが不安な場合におすすめです。
頻度や値段は?
スーツをクリーニングに出しすぎると、生地が傷みやすくなります。頻度の目安を知り、適切なタイミングで出すようにしましょう。
クリーニングにかかる日数や料金についても解説します。
夏は2週間に1回、冬は1シーズンに1回
汗をかきやすい夏場は、2週間に1回のサイクルがクリーニングに出す目安です。
汗を多くかく人や、屋外で歩き回る仕事をしている人は、さらに回数を増やしても良いでしょう。
ただし、この目安は、日頃からスーツにブラッシングをするなどのケアをしていることが前提です。ホコリなどの小さな汚れはこまめに除去し、自宅でも清潔な状態に保つことを心がけましょう。
一方、汗をかきにくい冬場は、1シーズンに1回が目安です。夏場にクーラーの効いたオフィスでしか仕事をしない人も、同様の目安で良いでしょう。
なお、雨や雪でスーツが濡れてしまったときや、食べ物をこぼして目立つ汚れが付いてしまったときは、すぐにクリーニングへ出すようにしましょう。
日数や料金の違い
クリーニングにかかる日数や料金は、「ドライクリーニング」と「ウェットクリーニング」のどちらを選ぶかで異なります。
ドライクリーニングの場合、所要日数は1〜5日、料金は1000〜1800円が相場です。ウェットクリーニングなら、日数は7〜10日、料金は2000〜4000円を目安に考えておくと良いでしょう。
クリーニング店の専門技術を駆使し、きめ細かく仕上げるウェットクリーニングの方が、日数が長く料金も高くなる傾向にあります。
また、シミ抜き・撥水加工・防虫加工などのオプションを付けると、さらに追加料金が発生し、所要日数も長くなります。
クリーニング店の種類
クリーニング店は、「一般店」「高級店」「宅配店」という3種に分けられます。
スピードや低価格を重視するなら一般店、大事なスーツの汚れを落としたい場合は高級店、店舗に行く暇がない人には宅配店がおすすめです。
普段使いしやすい一般的なクリーニング店
「できるだけ早く仕上げてもらいたい」「料金を抑えたい」という人は、一般的なクリーニング店がおすすめです。
前述した所要日数以内で仕上がることが多く、料金も相場を上回ることはほとんどないでしょう。朝出して夕方には受け取れるサービスを実施している店舗もあります。
一般的なクリーニング店は、チェーン展開している店舗と、個人で営業している店舗の大きく2種類に分けられます。
仕上がりのスピードと低価格料金にこだわるならチェーン店、多少時間がかかってもクリーニングの質にこだわりたいなら個人店がおすすめです。
こだわりがある場合は高級クリーニング店
「長年愛用しているこだわりのスーツをしっかりと仕上げてもらいたい」「一般店に出すのはミスが不安」という人は、高級クリーニング店の利用を検討しましょう。
料金が割高ではあるものの、スーツを隅々までじっくりと検品してもらった上で、それぞれの状態に最適な方法でクリーニングしてもらえます。
一般店と違い、高級店は検品後の見積もりが出されるまで、料金が分かりません。場合によっては、1万円近い見積もりを提示されることもあります。
価格を見ても、高価なスーツやブランド物のスーツをきれいにしたい場合におすすめです。
一般店では落ちないシミが付いたり、生地にテカリが発生したりした際にも、相談に乗ってもらえるでしょう。
忙しい人は宅配クリーニング
近年、人気を集めているのが、家から一歩も出ずにクリーニングを依頼できる「宅配クリーニングサービス」です。
店舗にスーツを持ち込む必要がなく、自宅から発送できます。仕上がり後も自宅に届くため便利です。各店舗のWebサイトを利用すれば、24時間いつでも申し込みができます。
料金は一般店よりやや高い程度です。配送の分だけ、日数が余計にかかります。季節物の衣類を、次のシーズンまで保管してもらえるといったサービスがあるのも魅力です。
日々の仕事が忙しくクリーニング店に足を運ぶ暇がない人や、クローゼットに空きが少なく収納に困っている人は、宅配クリーニングの利用も検討してみましょう。
クリーニングの流れ
スーツをクリーニングに出す場合、基本的には、スーツを渡して仕上がり時に受け取るだけで良く、特に難しいことはありません。
しかし、以下に挙げるようなポイントを知っておけば、トラブルの発生を最小限に抑えられるでしょう。
ビニール袋や紙袋に入れて持っていく
スーツをクリーニング店に持ち込む際は、ビニール袋や紙袋に入れた状態で持っていきましょう。
そのままの状態で出しても受け付けてもらえますが、移動中にスーツを引っかけたり落としたりすると、傷や汚れが付く恐れがあります。
スーツを保護するためにも、できる限り袋に入れて持っていくようにしましょう。
また、袋やハンガーをスーツと一緒に渡してしまうと、不要なものと判断され、店側で処分される可能性があります。
特に、スーツを購入した際に付いてくるハンガーは、受け付け時にスーツと一緒に渡してしまいがちです。受け付けの際は、スーツのみ渡すようにしましょう。
落としてほしいシミは受け付け時に伝えよう
クリーニングに出したいスーツには、落としてほしいシミが付いていることも多いでしょう。
シミの状態によっては、落とすのに追加料金が発生したり、仕上がりまでの日数が増えたりすることもあります。
落としてもらいたいシミがある場合は、受け付け時にしっかりとその旨を伝え、オプション料金や追加日数などを確認することが大切です。
なお、店舗のスタッフが忙しい場合は、各種オプションについて満足な説明を受けられないこともあります。Webサイトなどで、どのようなメニューがあるのかを確認してから足を運ぶのがおすすめです。
受け取り後のポイント
受け付けが済んだ後は、受付番号や受取日などが記載されている伝票を受け取ります。この伝票は、受け取りが完了するときまで大事に保管しておきましょう。
伝票を無くした状態で受け取りに行っても、氏名や電話番号などの情報を伝えれば、目的のスーツを探し出してくれます。
しかし、伝票があるときと比べ大幅に時間がかかる可能性があるため、待っている人がいると迷惑をかけることにもなりかねません。
スムーズにスーツを受け取るためにも、伝票はしっかりと保管しておくようにしましょう。
なお、受け取り時にスーツと一緒に付いてくるハンガーは、返却する必要はありません。
クリーニングに出すときのポイント
スーツをクリーニングに出す場合、ポケットの中身などスーツの状態を確認することと、店舗の営業時間を確認しておくことが重要です。
上下セットで出した方が良い理由も覚えておきましょう。
ポケットの中身は出しておく
クリーニングに出したスーツのポケットに物が入っていた場合、破損・紛失しても、基本的に店舗は責任を負いません。
また、インクがにじみ出たり、生地に傷が付いてしまったりする恐れもあります。スーツを出す前に、ポケットの中身を確認するようにしましょう。
生地に破れや穴あきがある場合も注意が必要です。これらのダメージがクリーニング後に見つかった場合、どちらの責任か分からずトラブルに発展する恐れがあります。
クリーニングに出す前に、スーツの状態をできるだけ隅々までチェックし、ダメージなどの情報を店舗と共有できると安心です。
上下セットで出す
ジャケットのみ汚れてしまった場合など、上下のどちらかのみをクリーニングに出したくなることもあるでしょう。
しかし、スーツはクリーニングの回数を重ねるごとに、少しずつ色あせていきます。色のバランスを崩さないためには、毎回上下セットで出すようにしましょう。
クールビズでスラックスしか着用しない時期でも、セットとして購入したジャケットがあるなら、クリーニングには上下セットで出す必要があります。
どうしてもスラックスのみ汚れやすい場合は、クールビズ用にスラックスだけを追加で購入することも検討しましょう。
店舗の営業時間を確認しておく
「即日仕上げを頼んだのに営業時間に間に合わず、翌日朝から着る予定のスーツを受け取れなかった」などという失敗例は、クリーニングによくある体験談です。
ほとんどの店舗では営業時間が決まっているため、初めて利用する店舗の営業時間はしっかりと確認しましょう。
数は少ないものの、24時間営業のクリーニング店も存在します。深夜や早朝にしか利用できない人は、自宅の近所にないか探してみるのもおすすめです。
また、週末や繁忙期は、一般的な所要日数より仕上がりが長くかかる場合もあります。スーツを着る予定が決まっているなら、早めに出すことを心がけましょう。
スーツを長く着るためのセルフケア
スーツを正しくケアすることで、より長く着用できるようになります。クリーニングの回数を減らすこともできる上に、状態を正確に把握できるため、店舗スタッフにも説明しやすくなるでしょう。
毎日のブラッシング
スーツのセルフケアで最も重要なのが、毎日のブラッシングです。日頃から表面のホコリなどを除去しておくことで、スーツがより長持ちします。
ブラッシングを行う際は、最初にスーツを手で軽く叩いてホコリなどを落とした後、上から下に向けて丁寧にブラッシングしましょう。
ポケットの中やラペルの裏など、外から見えない場所も、ブラシでしっかりと汚れを除去します。
ブラッシングする時間がなかなか確保できない場合でも、3回着用するごとに1回はブラッシングするように心がけましょう。
定期的に休ませる
スーツは同じものを毎日着用せず、1日着た後は2〜3日休ませておくのが基本です。着用しない時間を作ることで生地の水分を放出し、型崩れやシワが発生した状態から元に戻りやすくなります。
スーツを休ませる場合は、風通しの良い場所に保管し、生地が吸収した湿気をしっかりと飛ばすようにしましょう。
定期的にスーツを休ませるためには、1〜2着を着回すのではなく、シーズンごとに5着程度そろえておくのが理想です。
正しい保管方法
スーツを保管する際に使うハンガーは、肩の部分が厚みを帯びている、スーツ専用の木製ハンガーを使いましょう。
一般的な金属製のハンガーは、身体のラインを意識して作られていないため、型崩れを起こしやすくなります。
保管場所は、風通しが良く、直射日光の当たらない場所がベストです。湿気が多いと虫食いの原因になり、直射日光が当たると変色の原因になります。
クリーニングから戻ってきたスーツに被せられているビニールも、すぐに取り外しましょう。ビニールを被せたまま保管すると、湿気がたまりやすくなります。
スーツは適度にクリーニングしよう
スーツのクリーニング方法は2種類あり、油汚れを落とすならドライクリーニング、水溶性の汚れを落とすならウェットクリーニングが適しています。
クリーニングに出す頻度は、夏は2週間に1回、冬は1シーズンに1回を目安にしましょう。仕上がりの早さを重視するなら一般店、こだわりのスーツを依頼するなら高級店、忙しい人には宅配店がおすすめです。
スーツをより長持ちさせるために、定期的なセルフケアも意識しながら、汚れてしまった場合は早めにクリーニングに出しましょう。