スーツの裾の正しい長さは?裾の種類の違いや自宅で裾上げする方法も
どれほど高級なスーツを着ていても、裾の長さが適切でなければ、おしゃれなスーツスタイルには見えません。そのため、スーツを購入する際はしっかりと最適な長さに裾上げをすることが重要です。裾の適した長さや、裾上げの正しいやり方を解説します。
スーツの裾を適切にするためには?
スーツを上品に着こなすためには、裾を最適な長さにすることが欠かせません。
体形に合わせるだけでなく、パンツの太さも考慮することが必要です。スーツの裾を適切に仕上げるための目安を解説します。
裾の長さの目安を知る
スーツのパンツ丈は、着こなす人の印象を大きく左右する要素の一つです。
長すぎるとルーズでだらしない印象を与え、逆に短すぎるとカジュアルな印象となり、共にビジネスシーンにはふさわしくありません。
目安となる裾の長さは、『ハーフクッション』または『ワンクッション』です。
『ハーフクッション』は、腰骨の位置にウエストを合わせて背筋を伸ばしたとき、裾が靴の甲に軽く触れるくらいの長さです。比較的短めで、スタイリッシュな印象になります。
一方、『ワンクッション』はもう少し長めの折り目が一つできるくらいの長さで、靴下が見えない上品な着こなしです。
なお、靴の厚さなどによっても印象が変わるため、フィッティングの際には、普段から仕事で履いている靴を用意するのがおすすめです。
パンツの太さに合わせる
裾の長さを上記の目安通りにしたとしても、全体のバランスが悪くなってしまうことがあります。
その際に気を付けたいのは、パンツの太さです。『裾幅20cm』を基準に考えると良いでしょう。
細身のパンツのときは、やや短めのハーフクッションに調整するとルーズな印象がなくすっきりとまとまります。
一方、太いパンツのときは裾がはためくのを防ぐため、長めのワンクッションが理想的です。
裾上げの種類による違い
スーツの裾上げの種類は、『シングル』と『ダブル』の二つです。ここからはそれぞれの特徴と、見た目の印象がどのように異なるかを解説していきます。
細かい部分にもこだわって、ワンランク上のおしゃれを目指しましょう。
足元がすっきり見える『シングル』
『シングル』は、裾を折り返さない裾上げのことを指し、『プレーンボトムス』とも呼ばれます。細身のパンツやジャケットと相性が良いのが特徴です。
フォーマルな場面にも適しているため、ビジネスシーンで着用するならシングルの裾上げにしておけば間違いがありません。
足元がすっきりとするため、爽やかな印象になります。
重厚感のある『ダブル』
『ダブル』は『カフドボトムス』とも呼ばれる、パンツの裾を折り返す裾上げです。
重厚感のある着こなしになるため、ダブルブレストやスリーピーススーツなどのスーツスタイルでは最適なバランスになります。
ダブルはややカジュアルな印象となるため、プライベートなシーンで併用する場合にもおすすめです。
自分で裾上げをする方法
ここからは、購入後にスーツの丈が合わないことが分かったときのために、自分で裾上げをする方法について解説していきます。
糸が見えにくい『手縫い』
パンツの表に糸を見せたくないときは『手縫い』がおすすめです。最低限必要な道具として、糸・ハサミ・針・アイロンの四つが挙げられます。
具体的な手順としては、まず上げたい長さまでパンツの裾を三つ折りにして、アイロンで折り目を付けます。
次に『流しまつり縫い』という方法で、生地を縫い付けていきましょう。パンツの生地に近い色の糸を使うのがおすすめです。
針に糸を通したら玉結びをつくります。まずは三つ折りにした縫い代の裏側から手前に針を出し、次に表布の織糸を、縫い糸が目立たないように1〜2本ほどすくいましょう。
その後は、また縫い代の裏側から斜めに針を通して、同じ手順を繰り返します。縫い代には斜めに糸が並んでいくはずです。最後まで終わったら玉止めをします。
縫い目の間隔は5mm程度を目安にすると、耐久性がある上に、キレイな仕上がりになるでしょう。
手縫いであれば糸がほつれたときも、簡単に補修することができます。
キレイな仕上がりになる『ミシン縫い』
手縫いよりも簡単かつキレイに裾上げをしたいなら『ミシン縫い』がおすすめです。
手縫いのときと同じように、まず裾上げをしたい長さに裾を三つ折りにして折り目を付けたら、まち針で仮止めをして生地がずれるのを防ぎましょう。あとは低速をキープしながら、ミシンで丁寧に縫っていきます。
このとき生地を引っ張りすぎると、伸びてしまう恐れがあるため注意しましょう。
手軽にできる『裾上げテープ』
ミシン縫いよりもさらに簡単に、かつ素早く裾上げをしたいときに役立つのが『裾上げテープ』です。
急に裾が落ちてしまうといった緊急事態や、裁縫セットが自宅にないときにも、アイロンだけで裾上げができます。裾上げテープは、100円ショップなどでも購入可能です。
手順としては、折り目を付けるところまでは手縫いやミシン縫いと同様です。裾上げをしたい長さまで裾を三つ折りにして、アイロンでしっかりと折り目を付けましょう。
次にテープを2〜3cmほどの長さに切ります。
テープには両面タイプのものと片面タイプのものがあり、生地との合わせ方が異なります。
両面タイプであれば、接着したい生地と生地の間にテープをはさみましょう。片面タイプのテープの場合は、重ねた生地の上から接着をしていきます。
どちらも上からゆっくりとアイロンを押し当てていけば完成です。
ただし、裾上げテープは動きに弱いため、何度か洗濯をすると取れてしまうことがあります。あくまでも応急措置と考えましょう。
正しい裾の長さで着こなそう
スーツの裾の長さが適切だと、それだけでもスマートで清潔感のある印象を作り出すことができます。
次にスーツを購入するときは、体形・パンツの太さ・どのような場面で着ることが多いのかといったことを考慮して、最適な長さと裾上げの種類を決めましょう。
また、購入後のスーツを自分で裾上げしてみるのも一案です。今まで以上にスーツに愛着が湧くかもしれません。
社会人として、周りに不快感を与えない着こなしをするためにも、裾の長さにはしっかりとこだわりましょう。