ワイシャツの首回りに関する悩みを解決。縮みや黄ばみの原因と対策
ワイシャツは、体形に合ったサイズのものを清潔に身に着けることが大切です。首回りの寸法が合っていなかったり、襟に黄ばみがあったりすると、だらしない印象を生んでしまいます。首回りにまつわる悩みの原因と、その解決方法について解説しましょう。
首回りの適正サイズは?
ワイシャツを購入する際にチェックするべき部分に、『首回り』や『裄丈(ゆきたけ)』『着丈』などがあります。
特に『首回り』は、他人からの視線が向きやすい部分です。サイズが合っていないと、みっともない印象を与えかねません。
ワイシャツをきちんと着こなすために、まずは適正な首回りのサイズについて理解しておきましょう。
正しいサイズの測り方
巻尺(メジャー)を使って首回りを測ります。喉仏の少し下の部分で、喉骨がやや出ている場所を起点として測りはじめましょう。
そして、首の後ろの付け根の部分を通過するように、巻尺をひと回りさせて測るのです。
ワイシャツは、首回りの寸法をセンチメートルで表記していることもあれば、M・L・LLとサイズ表記されている場合もあります。
首回りでは通常『M:39cm、L:41cm、LL: 43cm』ほどですが、自分の寸法が分かっていなければ、適正なサイズのシャツを購入できません。
スマートに着こなせるワイシャツを購入するためには、正しく測った寸法を基準にすることが不可欠です。
ジャストサイズは指2本分
首回りを測定するときは、首にぴったりと巻尺をあてて測るのは控えましょう。
隙間なく首にメジャーを巻いて測った長さでワイシャツを選ぶと、窮屈すぎて第一ボタンが留まらない可能性があるからです。
どれほどのゆとりを持たせるかは、ワイシャツを着たときに望むサイズ感によって異なります。
ジャストサイズで着るならば、指2本分くらいの余裕を見て測りましょう。
タイトに着たい人は指1本分程度のゆとりで良いでしょう。ゆったりと身に着けるならば、指3本分の余裕が必要です。
縮む理由と対策
しっかりとサイズを測って購入したワイシャツでも、「首回りがきつくなってしまった」という経験をしたことがある人は多いでしょう。
衣類にまつわるトラブルとして、縮みが生じるというのは非常にポピュラーなものです。
ではワイシャツはなぜ縮んでしまうのでしょうか。その理由と対策について見てみましょう。
熱に弱い芯地
ワイシャツのシルエットを決める上で重要なのは、『襟』『袖口』そして『前立て』と呼ばれるボタンが並んでいる部分です。
この3カ所に挟まれている素材は『芯地(しんじ)』と呼ばれます。生地に張りを持たせ、形状を安定させる役割を担っているパーツです。
芯地には大きく、二つの種類があります。
高級ワイシャツに用いられる『フラシ芯』、そして大量生産されるワイシャツによく使われる『接着芯(トップヒューズ芯)』です。
多くのワイシャツで用いられている接着芯は、ポリエチレン樹脂を素材としています。熱に弱い熱可塑性があるため、温度の変化によって縮んでしまうのです。
高温なアイロンをあてるなどしていくうちに、次第に縮みが生じ、首回りがきつくなってきてしまいます。
機械仕上げのクリーニング
自分で洗濯せずに、クリーニングに出す人も多いでしょう。自宅で洗うよりも仕上がりが良いため、利用する人は少なくありません。
一般的な工程に『機械プレス』があります。洗浄後の濡れた状態に、縦方向に高温プレスをかけ、そして冷ます作業です。
温度の変化を見ると、低温から一気に高温になり、また低温へと向かうことになります。
高温な状態を通過する必要があることから、芯地の縮みが生まれ、ひいては首回りがきつくなってしまうのです。
ワイシャツを縮ませないためには
お気に入りのワイシャツは、長く愛用したいものです。できるだけ縮ませないようにする対策について紹介します。
ポイントは、自分が持っているワイシャツの芯地の種類を知り、そのタイプに合った取り扱いをすることです。
前述の通り、接着芯に熱を加えることは、極力避けるべきでしょう。
クリーニング店によっては、縮みにくい方法が用意されているケースもあります。仕上げ方法を相談してみることも有効です。
また、ノンアイロン仕様のワイシャツを選ぶことも対策の一つです。接着芯を用いていても、アイロンで熱を加えなければ、首回りの縮みを抑えられるでしょう。
首回りの汚れ対策
衣類は、サイズが合っていてデザインが良いことに加えて『清潔感があること』も重要な要素です。
首回りの汚れが他人に見えてしまうと、不潔な印象を与えてしまいます。シャツの首回りに生じやすい黄ばみ対策について解説しましょう。
黄ばみや汚れが付く原因
不潔感につながる黄ばみは、皮脂や汗が原因であることがほとんどです。
洗濯で落ち切らなかった汚れが、大気中の酸素と触れることで酸化し、黄ばみを発生させてしまいます。
夏場の衣類に黄ばみできやすいのは、大量に汗をかき、高まった代謝により排出された皮脂が付着しやすくなるからです。
意外に感じる人もいるかもしれませんが、洗剤を増やすことも黄ばみの原因になります。
洗剤を過剰に用いると、すすぎで落とし切れず、黄ばみの原因になってしまうのです。
ドラム式洗濯機などでは、節水効果を謳(うた)う機種もあります。こういった場合に、水が少ないことで十分なすすぎができていないかもしれない点には、注意が必要です。
首回りの汚れを落とす方法
洗濯で取り除けなかった黄ばみを落とす方法について、三つ紹介します。
まずは、『家庭用の台所用洗剤』を使用する方法です。食器用の中性洗剤の原液を黄ばんだ部分に少量垂らし、柔らかめのブラシで優しく擦ります。
繊維の奥にまで洗剤が染みわたるようにブラッシングしたら、すすぎ洗いをし、その後、普段通りに衣料用洗剤で洗濯しましょう。
次に、『重曹』を用いたやり方です。酸性の皮脂の汚れに対して、アルカリ性の重曹を使い、中和させて汚れを落とします。
大さじ1杯の重曹を、少量のぬるま湯で溶かしてペースト状にします。黄ばんだ部分に柔らかいブラシで重曹ペーストを塗り込みながら洗ったあと、通常の方法で洗濯です。
最後は、『酸素系漂白剤』を使う方法です。塩素系ではなく、弱アルカリ性の酸素系漂白剤を用意します。適量を洗面器などに溶かし、黄ばんだ部分を浸けおき洗いしましょう。
黄ばみの予防方法
一度付いてしまった黄ばみを落とすのは、手間がかかり面倒なものです。黄ばみを寄せつけないための、予防方法についても見ておきましょう。
ワイシャツを着る前に『ベビーパウダー』を付けておく方法があります。皮脂や汗を吸収し、生地に汚れが付くことを防いでくれるのです。
黄ばみやすい場所に『布テープ』を貼っておくことも有効でしょう。生地に直接汚れが付かず、テープが汚れたら剥がして捨てるだけでOKです。
『スプレーのり』を使って生地をコーティングすることでも、黄ばみ予防の効果があります。
襟や袖口など、黄ばみを防ぎたい場所にスプレーのりを吹きかけ、低温アイロンをかけると、コーティング効果が生まれ汚れ防止につながるのです。
既製品が合わない人はオーダーシャツを
既製品では「自分の体形にしっくりこない」「首回りと裄丈のバランスが良くない」といった違和感を抱く人もいます。
既製品が合わないと感じる人は、オーダーシャツを検討してみてみましょう。
オーダーシャツの種類
オーダーシャツは、自分の体形にフィットし、生地や細部のデザインにもこだわれるなど、さまざまなメリットがあります。
オーダーシャツのメリット
「自分の体形にジャストフィットする」「ディテールにまでこだわったシャツを手に入れられる」というのが、オーダーシャツの最大のメリットでしょう。
多様な部位を丁寧に採寸し、自分の体に合ったシルエットが完成するのはもちろん、生地、襟や袖の形、ボタンの色などあらゆる部分に自分の好みを反映できます。
既製品とは違い、自分だけの1枚を身に着けられることも大きな魅力です。
ワイシャツの首回りを快適に
ワイシャツは、着こなしによってはスマートな見映えになることもあれば、だらしない印象を生んでしまうこともあります。
人の視線が特に向きやすい首回りにおいて、『サイズが合っているか』『汚れが目立っていないか』は、最低限気にしておくべきポイントです。
適切な首回りのワイシャツを選び、快適かつスマートに着こなしましょう。