メンズのドレスシャツ選びのポイントを解説。襟の形や色にもこだわりを
「ドレスシャツ」は、いわゆる「ワイシャツ」の一つで「カッターシャツ」と呼ばれることもあります。ビジネスにもフォーマルにも活躍するシャツの形状にこだわり、一歩先行くおしゃれな着こなしを目指しましょう。色ごとに与える印象についても解説します。
INDEX
シャツの呼び名に関する基礎知識
ビジネスパーソンにとって、シャツは不可欠なものです。一口にシャツといっても、その呼び名にはいくつかの種類があります。
それぞれの言葉は知っていても、違いについては深く理解していないという人もいるでしょう。そこで、呼び名にまつわる基礎知識を紹介します。
「ワイシャツ」と「カッターシャツ」
「ワイシャツ」や「カッターシャツ」は、耳にしたことがあるという人も多いことでしょう。しかし、両者の違いが分からないという声も多く聞かれます。
結論からいえば、この二つは『同じもの』です。長野県付近までの東日本ではワイシャツ、岐阜県以西の西日本ではカッターシャツと呼ぶ傾向があります。
また、大阪や兵庫・愛知・福井・富山などでは、成人がスーツ用に着るものをワイシャツ、学生が学生服用に着るものをカッターシャツとしているようです。
ワイシャツの語源は、白いシャツを表す英語にあり、「ホワイト」シャツが転じて「ワイ」シャツとなりました。あるいは、第一ボタンをはずしたときの身頃がYの字に見えるからという説もあります。
カッターシャツは、大正時代に大手スポーツメーカーによって名付けられたようです。野球観戦時に、応援するチームの勝利を「勝った、勝った」といって喜ぶ男性の姿からヒントを得たという説が有力です。
「ドレスシャツ」とは
ワイシャツやカッターシャツと並んで、「ドレスシャツ」という表現も耳目にすることがあります。
大まかにいって、それら三つは『同じもの』で、基本的に違いはありません。
ドレスという言葉が冠されていることで、ファッショナブルでスタイリッシュな印象を抱く人も多いことでしょう。このような感覚も、間違いではありません。
正統派のシャツはどんなもの?
シャツを何の気なしに着ている向きは多いものです。そして、機能や形状について無頓着な人も少なくありません。
しかし、シャツにおいても伝統を守った『正統派のスタイル』というものが存在します。各部を見ながら、スタンダードな形式について解説しましょう。
胸ポケットはなし
シャツには、左胸にポケットが付いている場合が多くあります。しかし、正統派のシャツにはポケットがありません。
現代のスーツの概念が西洋ででき上がったのは、およそ100年前です。その当時は、シャツは下着としての役割を果たしており、見えると周囲の人を不快にさせることから、目に触れないように配慮が求められました。
懐中時計などの小物は、スリーピースのベストのポケットに入れておくものとされていたのです。
このような成り立ちから、下着であるシャツにポケットは相応しくないと考えられており『胸ポケットのないものが、正統派のシャツ』とされるのです。
脇線にも注目
シャツの身頃の横には、1本のラインが走っています。これは『脇線』と呼ばれる縫い目です。
そして、腕の部分にも、脇から袖口にかけて1筋の線が通っています。
脇線と袖口までの線が真っすぐ続いて伸びているシャツは、上質なものとはいえません。正統派のシャツでは、『脇と袖との縫い合わせがずれている』ものなのです。
一連の線として続いているシャツは、効率性を高め、コストカットした製法で仕立てられたものです。そのため、腕の可動域が狭まり、突っ張り感などを招いてしまいます。
着心地を重視して仕立てる場合、身頃と袖は後から縫い付ける必要があります。そのため、脇と袖のラインがずれているものが正統派といえるでしょう。
襟の種類
シャツ選びの際に基準とするものは人によって異なりますが、重要なポイントの一つに『襟の種類』が挙げられます。
スタンダードな形しか知らない、あるいはオーソドックスなタイプしか着たことがない人もいるでしょう。
襟の種類を知ることで、おしゃれな着こなしへとつなげましょう。
「レギュラーカラー」や「ワイドカラー」
「レギュラーカラー」は、襟の形の中で、最もオーソドックスなスタイルといえるものです。ネクタイの結び目の収まりも良く、使いやすいタイプといえます。
現代の基準としては、襟ポイント(喉元から襟の先端)の長さは70〜75mm、スプレッド(襟の開きの角度)が75〜90度、襟足の高さが30〜38mmとなっています。
「ワイドカラー」も、レギュラーカラー同様によく用いられるタイプです。レギュラーカラーと比べて若干長めの襟羽で、襟足も少し高めとなっています。
スプレッドも100〜120度と広めです。英国調のスーツとの相性が良く、トラディショナルな雰囲気が漂います。
「ホリゾンタルカラー」や「ボタンダウン」
襟元におしゃれな雰囲気を生みたいと思ったら、デザイン性のあるタイプを選ぶと良いでしょう。
「ホリゾンタルカラー」は、襟が180度近くまで開いているタイプです。そのため、水平(ホリゾンタル)という名前が付いています。
第一ボタンをはずしたときに、襟がすっきりと左右に開き、小ぶりな形状と相まってスマートさが漂うデザインです。
「ボタンダウン」は、カジュアルな場でもよく用いられ、高い人気を博しています。ノーネクタイでも首元をおしゃれにまとめられ、ボタンで留めることから襟元の型崩れがしにくいことも利点といえます。
色のイメージや特徴について
生地の色でシャツを選ぶことも多いでしょう。身頃の色は、着る人のイメージにも大きな影響を与えます。
代表的な色をピックアップして、それぞれの特徴について見てみましょう。
白のイメージとコーデ
ビジネスパーソンが着用するシャツにおいて、『白』は最も使い勝手が良く、かつ不可欠な色といえます。定番中の定番であり、必ず1枚は持っておくべき色です。
どんな色とも相性も良く、ボトムの色も選ばないため、どのようなシーンでも、安心して身に着けられるシャツです。
白シャツを軸としたコーデを見てみましょう。グレーネクタイ・黒のスーツと合わせると、シックなイメージです。ネイビーのネクタイにネイビースーツと、同色を選ぶとまとまりが良くなるでしょう。
黒のネクタイとグレースーツのコーデでは、胸元にアクセントをもたらします。ネイビーのネクタイとブラウンスーツならば、トラディショナルな雰囲気になるでしょう。
青のイメージとコーデ
『青』には、多くの人が爽やかさやクリーンなイメージを抱いています。清潔感を演出するには、打ってつけの色です。
ネイビーやグレー・ブラウン・ベージュ・黒など、さまざまな色のスーツとのマッチングも良く、明るい色のネクタイにも合います。
青いシャツのコーデを紹介しましょう。ネイビーのスーツを着て、ブラウンやワインレッドのネクタイを結べば、胸元に大人っぽい雰囲気を生むことができます。
ライトブルーのシャツに、ネイビースーツ・ネイビーネクタイと同色系で合わせれば、より爽やかなイメージとなるでしょう。
シャツ選びで押さえたいポイント
社会人にとって欠かせないシャツですが、漠然と購入している人も少なくありません。ポイントを押さえて選ぶことで、スマートな着こなしを実現できます。
「なにを基準に考えたら良いか分からない」という人に向けて、シャツ選びのポイントについて紹介します。
襟のタイプ
既に説明した通り、襟にはいろいろなタイプがあります。そして、シーンに合わせて襟のデザインを選ぶことが大切です。
「レギュラーカラー」や「ワイドカラー」は、オールマイティーなスタイルといえます。身頃が白ならば、お祝いの席にも、お悔やみの場にも適応するため便利です。
「ホリゾンタルカラー」は、左右に大きく開いたデザインで、おしゃれ感やスマートさを演出してくれます。
若々しさや軽快さをまといたいなら、「ボタンダウン」がおすすめです。ただし、冠婚葬祭など、フォーマルな場での着用は控えましょう。
色や柄
シャツの色は、着る人のイメージを大きく左右する要素です。自分の好みの色を選ぶのも良いですが、一方でTPOに合わせることも大切です。
ボトムとのマッチングを意識する必要があります。紺と紺、白と白など、同じ色の組み合わせだと、メリハリがなくなってしまうのです。
柄も、個性を主張したり、アクセントを加えたりするには効果を発揮するものです。代表的な柄に、ストライプやチェックがあります。
それぞれに当てはまることですが、柄の目が大きくなるとカジュアルさが増し、細かいと落ち着いた雰囲気になります。
サイズ感
シャツは、「ただ着られれば良い」というものではありません。自分の体形に合ったサイズ感のものを選ぶことは非常に重要なポイントです。
大き過ぎるものを身に着けてしまうと、ダボダボで服に着られているようなイメージになってしまいます。無頓着な印象を抱かれ、野暮ったい見た目になってしまうでしょう。
反対に、シャツが小さ過ぎると、見ている人に窮屈さを感じさせ、着ている本人も動き難いものです。
サイズ感を合わせるために重要なのは、自分の肩幅と袖丈に合わせることです。シャツ売り場で店員さんに測ってもらえるので、購入する都度、計測するのが良いでしょう。
使われている素材
シャツには、さまざまな素材の生地が使用されています。素材の違いによって、着心地も見た目も変わってくるのです。代表的な素材について、いくつか見てみましょう。
「ブロード」は、シャツの定番生地といえる素材です。綿・絹・ポリエステルを使用したものが多く、薄手ながら滑らかな光沢感が上品さを生んでいます。
「オックスフォード」も、代表的な素材です。分厚く丈夫で、ふんわりとした肌触りが特徴です。麻のような風合いの「ローン」を使用すると、表面がサラリと仕上がります。
「ツイル」の特徴は、斜めに織ることによってうね状に見える点と、柔らかい手触りです。デニム素材に似ている「シャンブレー」は、淡い色合いとソフトな肌触りを持つ点で人気があります。
ほかにも、「ヘリンボーン」「リネン」「スラブ」「フランネル」などが、シャツの素材に用いられています。
サイズの測り方と購入時の目安
シャツをスマートに着こなすには、自分の体のサイズに合ったものを着用することが大切です。測るべき場所と測り方、購入時の目安について解説します。
首回りのポイント
第一ボタンを留めたとき、襟と首との間に指が2本入る程度の余裕を持たせます。この状態が、ジャストサイズです。
この隙間は、好みによって変えてもかまいません。
測る際は、喉仏の辺りにメジャーを巻き、あまりきつく締め過ぎないようにします。実寸が38cmだとすれば、それより2cmほど長い40cmサイズのシャツを選びましょう。
M・L・LLというサイズ表記の場合もあります。その場合、Mは39cm・Lは41cm・LLは43cmが標準とされています。
裄丈のポイント
裄丈(ゆきたけ)も、シャツ選びには重要な要素です。首の付け根の真ん中から手の甲の真ん中くらいまでの長さを指します。肩幅の半分と腕の長さを足した長さともいえます。
裄丈が短いと、動くときに窮屈さを感じてしまい、反対に長過ぎるとスーツの袖口からシャツの袖が出過ぎてしまい、ルーズな印象を与える要因にもなってしまいます。
購入する際のポイントとして、実寸より数cm長いサイズのものを選ぶようにしましょう。洗濯によって縮むことを想定しておくことが大切です。
手持ちのシャツを測るときは
手持ちのシャツのサイズを知るための測り方について説明しましょう。首回りは、シャツを広げ、ボタンの中心からボタンホールの中心までの長さを測ります。
身幅を測る場合は、前ボタンを留めて平らな場所に置いて測ります。計測場所は3カ所です。
胸回りは左右の脇下を水平に測った寸法の2倍。胴回りは最もくびれた所を水平に測った寸法の2倍。裾回りは一番下の部分を水平に測った寸法の2倍になります。
そのほか、裄丈も首の付け根の真ん中から袖口までの長さを測っておきましょう。
おしゃれ感や違いを出すコーデを
シャツは、襟の形や色・柄など、多様な要素から成り立っており、これらの違いによって、醸し出す雰囲気も異なります。
また、サイズ感によっても着用したときの印象は大きく変わってくるため、自分の体形に合ったシャツを選ぶことも重要です。
このような点を押さえながら的確なシャツ選びをし、さまざまなコーディネートを楽しみながら、一味違うおしゃれ感を演出しましょう。