
冬スーツの賢い選び方。暖かくおしゃれな着こなしとコート選び
日頃からスーツを着慣れていない人にとって、冬はどのようなスーツを選べば良いのか迷うことも多いでしょう。おしゃれを意識しつつ、寒さ対策にも万全を期すことが重要です。冬におすすめの着こなし方やコートの選び方などを紹介します。
冬は秋冬用のスーツを着よう

スーツの種類は、春夏用と秋冬用に分けられます。冬におすすめの秋冬用について、生地などの特徴を理解しておきましょう。
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季節によって生地や裏地が違う
秋冬用のスーツは、ウールに代表されるような厚めで重い生地が使用されています。織り方がきめ細かく、風を通しにくいことも特徴です。
一方、春夏用のスーツは、薄く軽いサマーウール素材などの生地を採用しています。風通しが良くなるよう、織り方も粗めです。
裏地にも違いが見られます。秋冬用は全体に裏地がある『総裏』が主流ですが、春夏用は背中の部分だけ裏地がない『背抜き』タイプが主流です。
本来スーツの裏地は、湿気や汚れなどから表地を守るのが目的であるため、季節に関係なく総裏仕様が基本です。
しかし、季節による寒暖差が大きい日本では、涼しげな背抜きタイプが春夏用として定着しています。
定番の生地と柄
秋冬用スーツに使われる定番素材の一つに、保温性に優れた起毛タイプの『フランネル』と、耐久性のある『ツイード』があります。
フランネルは、ウール糸を起毛加工させて作られた、柔らかい生地です。肌触りが良く、優れた保温性と軽さからフォーマルな場面に向いています。
ツイードは、太い糸で織られた、ややざらざらした肌触りが特徴的な生地です。カントリー調の雰囲気は、二次会やパーティーなどのカジュアルシーンに合うでしょう。
柄に関しては、落ち着いた印象を与える無地やストライプが、ビジネスシーンの定番です。おしゃれな着こなしが許されるシーンでは、チェック柄も多く選ばれています。
おすすめはスリーピース

冬の防寒スタイルといえば、コートやマフラーの着用が真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし、防寒を意識したスーツスタイルなら『スリーピース』もおすすめです。
ジャケット・ベスト・パンツの3点セット
既製品の多くは、ジャケットとパンツを組み合わせたツーピースで販売されています。一方、スリーピースは、ジャケットとパンツにベストを加えた3点セットのスーツです。
基本的に、スリーピースは生地の素材や色がそろっているため、統一感のある着こなしができます。フロントからのぞくベストがおしゃれな印象を与えることも魅力です。
ジャケットを脱いだ状態では、カジュアルな雰囲気を際立たせてくれるでしょう。ベストによりシルエットがまとまることも特徴です。
イギリスで発祥したスーツは、スリーピーススタイルが由緒正しい着こなし方だといわれています。このスリーピースを簡略化して誕生したのが、ツーピースなのです。
防寒性があるので室内でも快適
ジャケットの中にベストを着用するだけで、大きな防寒効果が期待できます。胸元から入る冷気を抑えられるため、薄いベストでも十分に暖かく過ごせるでしょう。
外から室内に入り、寒さが少し和らいだ環境でジャケットを脱いでも、ベストを着ていれば適度な保温状態を保てます。
逆に、厳しい寒さの中でコートを羽織った状態からバスや電車に乗ると、想像以上に暑くなることがあります。
このようなケースでも、スリーピースを着用していれば、コートを脱いだ後の急激な体感温度の低下を防げるでしょう。
秋冬用スーツでも寒いときは?

スーツを秋冬用に替えたりスリーピースを着用したりしても、それだけでは寒さをしのげない日も多いでしょう。スーツスタイルに合った、真冬の防寒対策を紹介します。
スーツ用のコートを羽織る
防寒対策の定番としては、コートの着用が挙げられます。カジュアルなタイプではなく、スーツ用のコートを羽織ることが重要です。
コートにはさまざまな種類があり、どのタイプを選べば良いのか迷う人も多いでしょう。無難に着こなしたいなら、最もベーシックな『ステンカラーコート』がおすすめです。
ほかにも、紳士的な雰囲気を醸し出す『トレンチコート』や、おしゃれな印象を与えやすい『チェスターフィールドコート』が、定番として選ばれています。
スーツ用のコートは、裏地を取り外せる仕様もあります。秋から使えるため、1着用意しておけばシーズンを通して重宝するでしょう。
インナーや靴下で工夫する
スーツの内側からも対策を施すことで、より厳しい寒さにも耐えられます。インナーや靴下など、スーツに適した防寒アイテムを選ぶことが大事です。
シャツの中に着るインナーは、防寒機能の備わった機能性肌着がおすすめです。特に寒い日には2枚重ね着するなど、その日の気温に合わせて調整できます。
防寒用の靴下は、保温効果の高いウール素材が最適です。ビジネス用の靴下なら、多くの商品はウール素材でも綿のような薄さを実現しています。
このように、インナーや靴下を選ぶ際は、スタイルが崩れにくい薄手のものを選ぶことが重要です。
厚手のものを1枚着用するだけではなく、薄手のものを重ね着するという着眼点を持って着こなしを考えることもポイントです。
手袋やマフラーなど小物で防寒
首元から冷気が入るのを防ぐマフラーは、屋外で手軽に防寒対策できるアイテムです。ビジネススーツと合わせる場合は、控えめな色やデザインのものを選びましょう。
色に関しては、ネイビー・ブラウン・グレーなど、どのようなスーツにも合う色がおすすめです。デザインは無地やストライプが定番として選ばれています。
スーツの防寒アイテムとしては、手袋も重宝します。スーツと好相性の『レザーグローブ』なら、ブラウンやブラックなどベーシックな色を選ぶことで、スタイリッシュな印象を与えるでしょう。
ややカジュアルな雰囲気を演出したい場合は、『ニット手袋』もおすすめです。手袋は目立ちやすい部分であるため、スーツやマフラーと色味を合わせると全体がまとまります。
冬スーツのお手入れ&メンテナンス方法
冬スーツを長く美しく保つには、適切なお手入れが欠かせません。日々のケアを習慣化することで、見た目の美しさだけでなく、スーツ本来の機能性も維持できます。お手入れやメンテナンス方法を紹介します。
着用後のブラッシング
スーツを脱いだ後は、馬毛ブラシで優しくブラッシングを行いましょう。毛並みに沿って丁寧にブラシをかけることで、繊維の間に溜まった埃や汚れを除去できます。日頃のケア手順を見ていきましょう。
着用後は馬毛等のブラシで優しくブラッシング
衣服全体を軽くブラッシングしてから汚れやすい部分を重点的にケア
木製ハンガーにかけて形を整える
1日ほど陰干しでシワを軽減
雨天時は室内で自然乾燥(直接暖房は避ける)
特に冬物スーツは生地が厚手で丈夫に見えますが、実は埃や汚れが溜まりやすく、適切なケアが欠かせません。基本的なお手入れを習慣化することで、お気に入りのスーツを長く快適に着用することができるでしょう。
クリーニングのタイミングと頻度
クリーニングについては、適切な頻度と方法を心がけることが大切です。基本的な目安として、1シーズンに数回程度はクリーニングに出しましょう。もちろん、極度に汚れた場合ははやめにクリーニングへ出します。
汚れが目立たない場合でも、定期的なクリーニングで生地本来の風合いを保つことができます。ウール100%の生地はドライクリーニングを選び、水洗いは避けてください。水洗いは縮みや型崩れの原因となる可能性があります。
オフシーズンの保管方法
春になり冬スーツの出番が減ってきたら、保管方法に気を配る必要があります。保管前には必ずクリーニングを行いましょう。目に見えない汗や皮脂が付着したまま保管すると、カビや虫食いの原因となってしまいます。クリーニング後は、通気性の良い衣装カバーに防虫剤と共に入れて保管します。
直射日光を避け、湿気の少ない場所を選びましょう。定期的な換気を行うことで、カビの発生を防ぐことができます。また、スーツ同士の間隔を適度に保つことで、型崩れを防ぎ、適切な通気性を確保できます。
防虫剤は3か月を目安に交換し、定期的に状態をチェックするとよいでしょう。これらの注意点を守ることで、次のシーズンまで大切なスーツを美しく保管することができます。
スーツにマッチするコートの選び方

スーツ用コートは、デザインや色など多くの種類が販売されており、選び方に迷うこともあるでしょう。特に重視したいポイントを紹介します。
シンプルなデザインが使いやすい
スーツに合わせるコートは、できる限りシンプルなデザインが適しています。特に、ビジネスシーンで着用する場合は、派手にならないよう注意が必要です。
スーツ用コートの代表格である『ステンカラーコート』は、ベージュやネイビーが多くのビジネスマンに選ばれています。長めの丈やスタイリッシュなシルエットが特徴です。
よりフォーマルな印象を出したい場合は、『チェスターフィールドコート』も選択肢に入れてみましょう。格式高いデザインは、おしゃれに着こなしたいシーンにも向いています
ウエストのベルトが特徴的な『トレンチコート』も、スーツと相性の良いアイテムです。防水加工が施された生地のものもあり、雨風に強いことも魅力といえます。
ベーシックカラーをチョイス
コートを選ぶ際は、色にも着目しましょう。ブラック・グレー・ネイビーなどのベーシックカラーを選んでおけば、どのようなスーツにも合います。
ベーシックカラーは、落ち着いた大人の印象を与えやすいことも魅力です。ビジネスシーンでは、どっしりとした信頼感のある雰囲気を醸し出せます。
秋から春先にかけて長く着用できる、ベージュ系の色もおすすめです。暗めのトーンと併せて2色持っていれば、季節やシーンに応じて着まわせます。
着丈は長すぎないものを
着丈が長いコートに憧れを持っている人もいるのではないでしょうか。ジャケットが隠れる長さは必要ですが、あまりに長い着丈のコートは重たい印象を与えてしまいます。
おすすめの着丈は、膝よりやや下までの長さです。足のラインを見せられるため、全体的にすっきりとしたシルエットにまとまります。
コートを選ぶ際はスーツを着た状態で試着し、ジャケットがしっかりと隠れているか、長すぎる着丈になっていないかを確認しましょう。
冬に映えるカラーコーディネート術
寒い季節だからこそ、色使いで温かみのある装いを心がけたいものです。スーツの色を基調としながら、小物使いで季節感を演出していきましょう。
ベーシックカラー×差し色の活用
冬のスーツコーディネートでは、ベーシックカラーのスーツに深みのある色を組み合わせることがポイントです。ネイビーやグレーのスーツには、バーガンディやボルドーなどの落ち着いた色味のネクタイやチーフが好相性です。
特に暗めのスーツには、バーガンディやディープパープルを差し色として取り入れることで、重たい印象を巧みに和らげることができます。また、グレースーツには深いグリーンやネイビーの小物を合わせることで、温かみのある冬らしい雰囲気を演出できます。
全体的に明るすぎる色は避け、渋めの色合いを選ぶことで、大人の品格を保ちながら季節感のある装いとなるでしょう。
"トーン・オン・トーン"で上級者見え
同系色で統一感を出す"トーン・オン・トーン"は、上品な雰囲気を醸し出すコーディネートテクニックです。色味を揃えることで、スマートでまとまりのある印象を与えることができます。特に、ネイビースーツは青系統の小物と相性が良く、洗練された印象を与えられます。
スーツとシャツ、ネクタイを同系色でまとめる場合は、それぞれの明度や彩度に変化を付けることがポイントです。全く同じ色では平坦な印象になってしまいます。
小物で季節感をプラス
ネクタイピンやカフスボタンといった小物は、冬らしい素材感のものを選びましょう。
アイテム | 推奨される素材・仕上げ | 効果 |
---|---|---|
ネクタイピン・カフス | シルバー/ゴールドの艶消し加工 | 落ち着いた印象を演出 |
ポケットチーフ | ウール素材、カシミヤ混
シルクは光沢控えめ、マット質感 |
冬らしい雰囲気を表現 |
革小物(ベルト・靴・バッグ) | マット質感、艶控えめな仕上げ | 季節感を演出 |
防寒小物(スカーフ・グローブ) | スーツに合わせた色、冬向き素材 | 全体の印象を調和させる |
全体の統一感を意識しながら、それぞれの小物の質感でさりげなく冬らしさを表現することがポイントです。シルバーやゴールドの艶消し加工、マット質感の革製品、温かみのある生地など、適切な素材を選ぶことで洗練された季節感を演出できます。
シーン別冬の着こなし方

冬にスーツを着る機会が多いシーン別に、おすすめの着こなし方を紹介します。いずれも、カジュアルなスタイルを避けたほうが良いことは、共通点として挙げられます。
就職活動でカジュアルはNG
就職活動の面接時には、服装も重視されます。スーツは一般的なリクルートスーツを選んでおけば問題ありませんが、自由度の高いコートは選び方に注意が必要です。
カジュアルなコートを選んでしまうと幼稚に見えてしまうため、ほかの要素がどれだけ見栄え良く整っていても、面接官の印象を悪くしかねません。
デザインはステンカラーやチェスターのようなシンプルなものを選び、色もブラックやネイビーなどのベーシックカラーが適しています。
ビジネスシーンでは職場のルールに合わせて
多くの職場では、身に着けるものに関してルールが定められています。スーツ・シャツ・ネクタイの色味やコートの種類など、職場によりルールはさまざまです。
冬に向けてどのような服装を意識しておけば良いのか、職場の上司や先輩に確認し、無駄なものをそろえないようにしましょう。
社内で決められたルールが自分の感覚からずれていても、ルールとして一旦受け入れることが大切です。
制服のような統一感を求められているのでなければ、ルールの範囲内で着こなしを楽しむ意識を持つと良いでしょう。
結婚式ではフォーマルなものを
結婚式では、スーツスタイルもフォーマルな雰囲気を目指すことが大事です。
冬の結婚式なら、フォーマルスーツの定番であるブラックスーツやダークスーツを選びましょう。スリーピースなら、よりシーンに合った雰囲気を出せます。
式場内でコートを着る機会はありませんが、チェスターフィールドコートのようなフォーマルシーンに適したコートを選んでおけば、式場外でも失礼にはあたりません。
コートの色は、落ち着きのあるベーシックカラーが適しています。ブラックなら、結婚式以外でもあらゆるシーンで活用できるでしょう。
冬は防寒対策とおしゃれを両立しよう

冬にスーツを着る場合は、防寒を意識して作られている秋冬用がおすすめです。スリーピースを選んだり、コートや小物を合わせたりすれば、より防寒効果を高められます。
寒さ対策と併せて、シーンに合った着こなしを意識することも重要です。選ぶコートはデザインや色も重視し、寒い冬をおしゃれなスタイルで乗り切りましょう。