スーツのアイロンがけのポイントは?簡単作業で臭いも予防しよう
大切なスーツを少しでも長く着用するためには、アイロンがけが効果的です。スーツを長持ちさせるだけでなく、スチームを当てることにより消臭効果も期待できるなど、さまざまなメリットがあります。スーツのメンテナンスに適したアイロンの種類や、アイロンがけの方法を紹介します。
INDEX
シワ伸ばしだけじゃない!アイロンがけのメリット
アイロンがけは、シワを伸ばすことだけが目的ではありません。スーツを大切に扱い、寿命を延ばすためにも大切な作業なのです。その理由を紹介します。
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スーツが長持ちする
スーツは、着用していくうちに繊維が乱れ、ヨレヨレの状態になってしまいます。しかし、スチームを当てて繊維を元の状態に戻すことができれば、生地がビシッと伸びて、長くきれいに着用できます。
また、アイロンの熱は、スーツに穴を空ける原因となる害虫や、害虫の卵を死滅させる効果も期待できます。
ほかにも、定期的にアイロンがけを行うことで、糸のほつれやシミなどにいち早く気付けるため、早い段階で対応できるというメリットもあります。
クリーニングの頻度が減る
スーツをクリーニングに出すタイミングの多くは、汚れやシワが目立つとき、臭いが気になったときではないでしょうか。
自宅でアイロンがけを行うことでも、ある程度のシワや臭いは解決することができます。
クリーニングに出す回数が減れば、その分の代金を節約できるほか、スーツの生地を傷めなくて済みます。
また、クリーニングに出している際に起こりがちな「スーツを着たいときに着られない」といった事態も避けられるでしょう。
殺菌消臭も期待できる
アイロンの熱で雑菌を死滅できれば、消臭効果も期待できます。
ビジネスマンであれば、スーツは頻繁に着るものです。外回りの営業などであれば、より汗をかきやすくなるでしょう。
そうしてかいた汗は、雑菌を繁殖させる原因になります。汗の成分が臭い菌に分解されることで、臭いが発生するのです。
そのため、週に1度はアイロンがけをすることで、消臭や殺菌、防虫効果が期待できるでしょう。
特に、脇の下は汗をかきやすい部分なので、念入りにスチームを当てて、清潔な状態に保つことが大切です。
スーツにおすすめなアイロンの種類
スーツのメンテナンスに適したアイロンには、どのような種類があるのでしょうか。おすすめのアイロンの種類を紹介します。
しっかりかけるなら『スチームアイロン』
アイロンの効果を十分に期待するのであれば、熱と蒸気の力でしっかりとシワを伸ばす『スチームアイロン』がおすすめです。
スチーム量が多いパワフルなものであるほど、短時間でシワを伸ばせるでしょう。タンクに溜められる水の量が多いものほど、連続で使用できるため、水を入れる手間が省けます。
また、スチームはシワを伸ばすだけでなく、スーツの臭いもしっかり取ってくれるメリットがあります。これは、熱で殺菌するだけでなく、スチームが臭いの粒子を包み込みながら、噴き出す力で飛ばしてくれるからです。
スチーム量やアイロンの温度を調節できるものであれば、取り扱いに気を付けたいスーツにも、自分で調節しながら利用できるでしょう。
手軽にかけるなら『衣類スチーマー』
『衣類スチーマー』であれば、スーツをハンガーにかけたまま強力なスチームを当て、シワを伸ばしたり、臭いを取り除いたりできます。
わざわざアイロン台を出す必要もないため、作業スペースを確保する必要もありません。短時間で手軽にスチームを当てたい人におすすめです。
スチームが前面だけでなく、横にも広がるタイプであれば、より短時間で広い範囲にアイロンがけが可能です。
さらに『プレス面が付いている衣類スチーマー』であれば、袖や襟のシワも伸ばしやすくなります。
中には、充電式で手軽に使えるコードレスタイプの衣類スチーマーもあります。シーンに合わせて選択すると便利でしょう。
アイロンがけをするときのポイント
アイロンがけをする際は、アイロンの種類に気を付けるだけでなく、いくつか注意すべきポイントがあります。デリケートなスーツを扱うために、知っておきたい知識を紹介します。
素材別に設定温度を変える
アイロンをかける前には必ず、そのスーツがどのような素材でできているのかを確認しましょう。
素材によって、適した温度は異なります。素材の種類とアイロンの適切な温度は『洗濯表示タグ』に記載されているので、あらかじめチェックしてからアイロンがけを行うことが大切です。
不適切な温度でアイロンがけをしてしまうと、生地が傷んでしまいます。また、誤った場所に高い温度で折り目を付けてしまうと、元に戻すことが難しくなってしまいます。
以下を参考に、各素材に適した温度でアイロンがけを行いましょう。
- 綿、麻:180〜200℃(高)
- ウール:140〜160℃(中)
- ナイロン、アクリル:110〜130℃(低)
特に、高級なスーツは繊細な生地が多いため、洗濯表示をしっかり確認し、注意しながらかけていくことが大切です。
直接ではなく当て布を挟む
アイロンの熱で生地を傷めてしまわないように、『当て布』を使うことも大切です。
当て布はスーツを保護するだけでなく、アイロンを滑りやすくする効果もあります。そのため、アイロンがスーツの生地に引っかかることなく、スムーズにかけられるでしょう。
当て布には、しっかりとスチームを通す、通気性の良い『綿』がおすすめです。薄い綿のハンカチであれば、同時にアイロンがけができますし、白い当て布であればスーツの生地が見えるためアイロンがけがしやすいでしょう。
また、当て布を使うことは、スーツで起こりがちなトラブルである『テカリ』の防止にも役立ちます。当て布は、生地を保護してトラブルから守る、一石二鳥のアイテムなのです。
ラインを意識してやさしく押し当てる
アイロンをかけるときは、ゴシゴシこすらずに、なでるようにかけることもポイントです。肩や袖などを崩さないよう、ラインに沿った動きを心掛けましょう。
前面のラペルは、折り目を強く付けすぎるとスーツのラインが崩れてしまうため、やさしく丁寧にかけていきます。
スラックスをアイロンがけする際は、基本的に片足ずつアイロン台に載せ、足のラインに沿ってアイロンがけをしていきます。
裾は、裏側からやさしくプレスするように、丁寧に伸ばしましょう。足元といえども、シワが伸びていないと目立ってしまいます。端までしっかりとアイロンがけを行いましょう。
アイロンがけの正しい手順
せっかくアイロンがけをするのであれば、パリッと決まった仕上がりにしたいものです。アイロンがけの正しい手順や、時短で済ませるポイントを紹介します。
丁寧なアイロンのかけ方
まずは、肩と袖からアイロンがけを行いましょう。片方ずつ、ラインを崩さないようにやさしくかけていきます。このとき、片手でシワを伸ばしながら行うと良いでしょう。
続いて、背中の部分です。スーツをアイロン台の上に載せ、背中を上にします。背面は中心から外側に広がるように滑らせます。シワがよらないように、スーツ全体を張りながら行いましょう。
次に、最も目立つ前面をアイロンがけしていきます。前面は、左と右を片面ずつやさしくプレスするように仕上げていきます。特に、胸ポケットや内側のボタン部分は、シワが入らないよう、意識しながらかけましょう。
最後は襟です。裏返しにし、生地を引っ張りながら、ゆっくりとアイロンをかけます。
時短で済ませるならポイントごとに
急にスーツを着ることになった場合など、時間がない場合には、ポイントを絞ってサッと仕上げましょう。
スーツは胸板を美しく見せると、全体が立体的にきれいに見えます。そのため、ラペルをふんわり立体的に仕上げることが大切です。スチームを当てながら、アイロンで柔らかく仕上げていきましょう。
スラックスはまず、ハンガーにかけて全体にスチームを当てます。続いて、プレスを用いてセンターラインの折り目をしっかりと出せば、短時間できれいに仕上げられます。
なお、プレスにかける際は、当て布を敷くことを忘れないよう気を付けましょう。
アイロンがけ時の注意点まとめ
アイロンを使う際には、いくつかの注意点があります。 特に、小さなお子さんやペットがいる家庭では、火傷のリスクを避けるための工夫や、使用後の安全な保管方法が必要です。 具体的な注意点を詳しく見ていきましょう。
小さなお子さんやペットに気をつけましょう
アイロンがけを行う際、家の中で最も注意が必要なのは、小さなお子さんやペットの存在です。 好奇心旺盛な彼らは、アイロンの光や動きに興味を持ちやすく、思わぬ事故につながる可能性があります。 アイロンを使用する時は、彼らが部屋に入れないようにするか、もしくは十分な監視下に置くことが重要です。 具体的には、アイロンを使う部屋のドアを閉める、ペットを別の部屋に移動させるなどの対策を取ると良いでしょう。 さらに、アイロン台を安定した場所に設置し、コードが引っかかって転倒することがないようにすることも大切。 小さなお子さんやペットを守るためには、周囲の環境を整えることが必要不可欠と言えるでしょう。
火傷を避けるための工夫は?
アイロンがけをする際に最も注意したいのが、火傷を防ぐことです。 高温になったアイロン板に直接触れると、重度の火傷を負う恐れがありますので、火傷を防ぐための工夫が必要です。
・長袖の服を着る
・コードが足にからまないようにする
・アイロン台を安定したところに置く
・アイロンがけの際は常にアイロンを動かす
まず、アイロンを使用する際は、長袖の服を着用し、手や腕を保護しましょう。 さらに、アイロンをかける際は、コードに足が絡まないように注意し、アイロン台の安定した設置も重要。 さらに、アイロンがけを行う際は、一点に長時間アイロンを当てないようにし、常にアイロンが動いている状態を保つことが大切です。 こういった工夫を心がけ、火傷のリスクを大幅に減らしましょう。
アイロン使用後の安全な保管方法は?
アイロンの使用後は、ただちに保管場所にしまうのではなく、アイロンが完全に冷めるまで待つことが、安全な保管の鍵となります。 使用直後のアイロンは非常に高温であり、触れると火傷の危険があるだけでなく、熱が残っている状態で布製品や燃えやすい物質の近くに置くと、火災の原因となることも。 アイロンがけが終わったら、アイロンを安全な場所に立てかけて冷まし、触っても安全な温度になるまで待つことが大切です。 さらに、アイロンのプラグをコンセントから抜くことを忘れずに行うことも、事故を防ぐ上で重要。 冷めたことを確認した後は、アイロンを専用の収納場所に戻し、次回の使用まで安全に保管しましょう。
テカリが出てしまった場合の対処法
スーツにアイロンをかけていると、独特の『テカリ』が出てしまうことがあります。これは、着用時やアイロンの摩擦によって、生地の繊維に異常が生じている状態です。
テカリが出てしまった場合の対処法についても知っておきましょう。
もう一度アイロンをかけてみる
テカリが発生した場合、まずはアイロンをスーツから1cmほど離して、スチームをたっぷりとかけてみましょう。スチームで繊維を開かせることで、テカリを修復できる可能性があります。
専用のスプレーを使う
専用のスプレーを使用することで、テカリを修復させる方法もあります。
洋服売り場やドラッグストアであれば、テカリを直す専用のスプレーが販売されているため、もしものために手元に置いておくと便利です。
ブラシを使って繊維を立たせる
スチームや薬品の噴射だけでなく、ブラッシングで繊維を立たせることも効果的です。
ブラッシングはテカリだけでなく、ほこりや小さな糸ゴミも除去できるため、メンテナンスにはかかせない方法です。
テカリが強いほど繊維を起こすことが難しくなるため、テカリに気付いたら早めにブラッシングを行いましょう。
衣料用ブラシがなければ、歯ブラシでも代用が可能です。繊維の流れと逆方向にこすり起毛させてから、スチームアイロンをかけると効果的です。
スーツ関係のアイテム別!アイロンがけで使えるテクニック
スーツを着こなす上で見逃せないのが、アイロンがけのテクニックです。 ジャケット、パンツ、シャツといったアイテムごとに、アイロンのかけ方には以下のようなポイントがあります。
アイテム | ポイント |
---|---|
ジャケット | プレスクロスを使用する ボタンを避ける 縫い目に沿ってアイロンをかける |
パンツ | 前後の中心線をきちんと合わせる 裾やウエスト周りは、温度を少し低めに ポケットの部分は内側から |
シャツ | 襟、袖、前立ての順番に 襟は内側から外側に向かって 袖は形を整えながら 前立てはボタンの間を丁寧に |
アイテムに合わせたアイロンがけの方法を見ていきましょう。
ジャケットのアイロンがけポイント
ジャケットのアイロンがけでは、まず型崩れを防ぐことが重要です。 アイロンを直接ジャケットに当てるのではなく、プレスクロスを使用して熱が直接衣類に触れないようにすることがポイントです。 肩や襟の部分は特に注意が必要で、こういった部分は形を整えながら慎重にアイロンをかける必要があります。 さらに、ボタン周りはアイロンのプレートが直接触れないように、ボタンを避けてかけることが大切です。 縫い目に沿ってアイロンをかけると、ジャケットのラインがきれいに仕上がります。
パンツのアイロンがけポイント
パンツにアイロンをかける際は、まず前後の中心線をきちんと合わせることから始めます。 中心線を基準にして、アイロンをかけることで、綺麗なプレスラインが出来上がるでしょう。 さらに、パンツの裾やウエスト周りは、アイロンの温度を少し低めに設定し、丁寧にアイロンをかけることが大切です。 パンツの素材によっては高温でアイロンをかけると光沢が出てしまうため、素材の特性に合わせた温度設定が重要です。 ポケットの部分は、アイロンが直接当たらないように内側からかけると、きれいに仕上がります。
シャツのアイロンがけポイント
シャツのアイロンがけでは、襟、袖、前立ての順番にアイロンをかけると効率的です。 襟は内側から外側に向かってアイロンをかけ、先端から根本に向かうように動かすと、きれいに仕上がります。 袖に関しては、アイロン台の端を利用して、袖の形を整えながらアイロンをかけると良いでしょう。 前立てはボタンの間を丁寧にアイロンがけすることで、全体の印象がぐっと引き締まります。 シャツの素材によっては水を吹きかけながらアイロンをかけると、シワが取れやすくなりますよ。 なお、KASHIYAMAのインスタグラムではアイロンがけの方法からシャツのたたみ方まで動画で紹介しております。ぜひご覧ください。
【スーツ編】 アイロン使用で気をつけたいトピックスまとめ
スーツのケアにおいて、アイロンがけは重要な役割を果たします。 しかし、間違った使い方をしてしまうと、スーツを傷める原因にもなりかねません。 ここでは、アイロン使用時のよくある誤解を解き明かし、正しい方法をお伝えします。
温度は高ければ高いほど良い(効く)んですよね?
アイロンの温度設定について、多くの人が、温度を高くすればするほど、より速く、より効率的にシワが取れると考えがちです。 しかし、これは大きな間違い。 スーツの素材は、ウールやコットン、シルクなど多岐にわたり、素材ごとに適した温度があります。 例えば、ウール素材の場合、高すぎる温度でアイロンがけを行うと、生地が縮んだり、光沢が失われたりすることがあります。 一方で、シルク素材の場合は、さらに低い温度で丁寧に扱う必要があるでしょう。 アイロンをかける前には必ず、スーツのタグで推奨されている温度を確認し、アイロンの温度設定を適切に行うことが肝心です。 素材に応じた適切な温度設定を心がけることで、スーツを長持ちさせることができるでしょう。
アイロン台がないときは食卓テーブルでも良いですか?
アイロンがけをする際に、アイロン台の代わりにテーブルを使用することは避けるべきです。 アイロン台は、アイロンがけ専用に設計されており、熱を均等に分散させ、シワを効果的に取り除くための特性を持っています。 テーブルの上でアイロンがけを行うと、熱が均一に分散されず、生地にダメージを与える可能性がありますし、さらに、テーブルの表面が熱によって傷つく恐れもあります。 アイロン台は、使い勝手や収納の便利さを考慮して選ぶと良いでしょう。 収納棚の一部に造り付けるなど、スペースを有効活用するアイデアもあります。 アイロン台を正しく使用することで、スーツを安全に、かつ効率的にケアすることが可能となりますよ。
アイロンがけは毎日したほうが良いですか?
スーツのアイロンがけを毎日行うことは、実は推奨されません。 頻繁なアイロンがけは、生地に不必要なストレスを与え、素材の劣化を早める原因となります。 スーツのアイロンがけは、必要な時に、適切な温度で行うことが大切です。 例えば、大切な会議やイベントの前に、見た目を整えるためにアイロンがけをするなど、使用するタイミングを選ぶべきです。 さらに、アイロンがけの際には、スチーム機能を活用することで、生地に優しくシワを伸ばすことができます。 スーツを長持ちさせるためには、適切なケアを心がけることが重要であり、アイロンがけの頻度も考慮する必要があるのです。
アイロンがけでスーツをきれいに
毎日の生活で着用するスーツは、アイロンがけをすることで、長期間きれいに着用することが可能です。
スチーム機能の付いたアイロンを用いれば、より簡単にスーツのシワ取ができます。プレスして使用する際は、『当て布を使うこと』や『強く当てすぎないこと』に気を付けて、丁寧に仕上げていきましょう。
もし、摩擦でテカリが発生してしまった場合も、ブラッシングや専用スプレーを使うと取れる場合があります。
お気に入りのスーツをしっかりとメンテナンスして、上質な状態で長く着られるようにしましょう。