スーツのポケットの正しい使い方・マナーを解説!
スーツのポケットの正しい使い方やマナーを100%理解されている方は、どれほどいらっしゃるでしょうか。 実は意外と見落としがちなのですが、スーツには様々なポケットが備え付けられており、またオーダーメイドのスーツではオプションとしてポケットを追加したり場所を変更することが可能となっています。 もともとスーツのポケットは数百年前から様々な時代の変遷の中で作り上げられてきたものであり、歴史の重さを感じさせるようなものでもあります。 そこで、この記事ではスーツポケットの正しい使い方とマナーについて、そしてよくある質問についてもまとめて解説していきます。
INDEX
スーツの正しいポケットマナーとは
スーツにはその美学と機能性が求められますが、どのようにポケットを使うかもその一部です。 正しいポケットの使い方を知ることで、スーツが持つ格式と美しさを最大限に引き出すことが可能です。このセクションでは、スーツのポケットに関する基本的なマナーをご紹介します。
ポケットに小物を入れない:ジャケットの形を保つ秘訣
スーツのジャケットには、通常、左胸と左右の腰部分にポケットが配されていますが、このデザインは長い歴史と伝統に基づいています。 特に胸ポケットには、ポケットチーフを差す場合がありますが、腰ポケットに物を入れるのはタブー。 理由は、小物や手を入れるとジャケットが重さで引っ張られ、美しいシルエットを崩してしまうから。 購入時にポケットがしつけ糸で縫いつけられている場合、その糸を外さずにポケットを使えないようにしておくのも一つの方法です。
屋内ではフラップ(フタ)をしまうことでエレガントな印象を
スーツのジャケットには、多くの場合、フラップと呼ばれるフタが付いています。 屋内での正式な場やビジネスシーンでは、このフラップを内側に折り込むことで、よりスマートで洗練された印象を与えます。 フラップを内側に折り込むことで、ジャケットのラインがすっきりと見え、全体のスタイリングもエレガントにまとまります。
屋外ではフラップ(フタ)を出すことで機能性を活かそう
一方で、屋外やカジュアルな場ではフラップを出しても問題ありません。 実際、フラップは元々は外での活動や天候に対応するための機能的な要素として設計されました。この状態では、ポケットの中身が落ちにくくなるとともに、ジャケット自体にもカジュアルな印象が加わります。 以上が基本的なスーツのポケットマナーです。これを守ることで、スーツの美しさと格式を高め、より印象的な着こなしを実現できます。
スーツに小物を入れてよい場所は?
腰ポケットにモノを入れると、膨らんだり、型崩れの原因となるので、使わないことをおすすめしますが、手ぶらになりたくて小物を収納したいなら、内ポケットを使うことをおすすめします。 ただし、あくまで薄手で小さく軽いものを。内ポケットはその位置と構造から多少のものでもジャケットのシルエットや型崩れにひびきにくいので、適度に活用するほうが良いでしょう。その際、用途によって、どこになにを入れるかの参考までに、内ポケットについて解説します。
左内ポケット
右手を滑り込ませやすく、出し入れが容易な左の内ポケットには、チケットやパスケース、名刺入れなどを収納するのが適切です。スマホを入れる方もいらっしゃいますが、スマホはちょっと重いので、カードケースなどの薄く軽いものにしておくほうがよいでしょう。
右内ポケット
左前になるジャケットの右ポケットは、手が入れにくい構造です。そのためスリや盗難に合わないよう各種カードや海外ではパスポートなど、貴重品の収納に役立ちます。また左打ちポケットはボタン無し、右打ちポケットにはボタン付きという場合も少なくありません。
左下内ポケット
腰ポケットの裏辺りに位置する内ポケットは、多少厚みのあるものを入れても表にひびかない構造です。そのためスマホやシガーケースなどを収納しても、シルエットに影響しにくいので活用すると便利です。ただし素早く取り出しやすい場所ではないのでご注意を。
【知っておきたい】スーツのポケットの種類
ジャケットの腰ポケットにはフラップ付きのものや、斜めにつけられたもの、パッチ式のものや上下に2つあるものなど、様々な形状があります。 実際にモノを入れることはないとはいえ、それぞれの出自を知っておけば、どのようなシーンに着ていくことが相応しいかが分かるはずです。 現代では厳格なドレスコードはありませんが、自分なりのドレスコードを持っておくことは礼節ある大人の嗜みでもありますし、さらには服装を選ぶときにも迷わずに済むという利点もあります。 では、ポケットの形状とそれぞれの用途について紹介しましょう。
フラップポケット
ポケットに蓋=フラップのついたもの。一般的なスーツのポケットは、ほぼこの形状です。雨水や土埃が入らないように蓋がついていることから外で着ることを前提としたポケットだということがわかります。フラップの幅はラペル幅と連動することが多く、ワイドラペルのときはほんの少しフラップ幅を太くするとバランスよく見えます。
フラップレスポケット
フラップがなく、横一文字に口があるポケットは、室内で着るためのフォーマル用スーツなどドレスアップするためのスーツに用いられます。口部分が開いてしまうと格好が悪いので、ポケットにモノを入れるのはご法度。しつけ糸がついていたら、外さないことをおすすめします。
パッチポケット
ジャケットの腰部に共布をパッチのように貼り付けたポケットは、本来はワークウェアなどに用いられたポケットの形状で、主に単品のジャケットに見られる仕様です。ドレスアップしたシーンで着用するスーツには用いませんが、最近ではあえてパッチポケットにすることで、カジュアルに着られるように仕立てることもあります。
パッチ&フラップポケット
パッチポケットにフラップが取り付けられたもので、サファリジャケットなどカジュアル用のジャケットに使われることが多い仕様です。ドレスアップするスーツにはあまり使われませんが、オーダースーツならではのこだわりとして取り入れる人もいます。
スラントポケット
ポケットが斜めに着られているものをいい、別名「ハッキングポケット」呼ばれます。本来は乗馬時に冷えた手を温めるため、手を入れやすいよう斜めに切られたポケットに由来します。ロンドンのサヴィル・ロウで仕立てるビスポークスーツに採用されることが多かったため、「英国の高級仕立て服」の代名詞として既製品に用いられました。
チェンジポケット
主に右側の腰ポケットの上に取り付けられた小さなポケットをチェンジポケットと言います。チェンジとは小銭のこと。文字通り、小銭などの小物を入れるためのポケットですが、実際に入れると取りにくいので使わないほうが無難です。
スタイル名 | スタイル名 | 特徴 | おすすめカラー・柄 |
---|---|---|---|
王道のシングルチェスターコーデ | ビジネス・カジュアル | スリムフィットのスーツと相性が良い | 一般的なカラー |
エレガントなダブルチェスターコーデ | フォーマル | ダークグレーのスーツと相性が良い | ダークグレー |
ブラウンチェックコートのコーデ | カジュアル | ベージュや茶色のパンツと相性が良い | ブラウンチェック柄 |
伝統の千鳥格子柄で洗練スタイル | エレガント | ダークカラーのスーツと相性が良い、千鳥格子柄が特徴 | 千鳥格子柄 |
パンツのポケットとは?特性&用途まとめ
スーツを語る上でジャケットのポケットに注目が集まりがちですが、パンツのポケットにもその歴史と機能性があります。 こちらもまた、ビジネスからカジュアルまで、シーンに応じた使い方が存在しますので、パンツの主なポケットの種類とその特性、用途について詳しくご紹介します。
サイドポケット:脇ポケットの形と用途
サイドポケットは、通常、パンツの両側に位置するポケットで、一般的には「脇ポケット」とも呼ばれます。 このポケットは、斜めと縦の2種類に分けられます。斜め(ナナメ)のポケットはカジュアルなスタイルに適しており、手を自然に入れやすい設計になっています。 縦(タテ)のポケットはよりフォーマルな装いに合わせやすく、ビジネスシーンでよく見られ、どちらのタイプも、財布やスマートフォン、キーなど、基本的な小物を収納するために用いられます。
ヒップポケット:裏側の機能性とデザイン
ヒップポケットは、パンツの後ろ側に位置するポケットで、「ピスポケット」とも呼ばれることがあります。 このポケットは主に財布を入れるためのものとされ、座った状態では物が落ちにくい設計になっています。
フォブポケット:歴史ある小さなポケット
フォブポケット、または「ウォッチフォブポケット」とも呼ばれるこのポケットは、かつては懐中時計を入れるために使われていました。 今日ではそのような用途は少なくなっていますが、細かい小物を入れるのに便利な場所として有用です。 一般的にはオーダーメイドのオプションとして配置することが多く、ベルトループのすぐ下やサイドポケットの上部に配置されています。 パンツの後ろ側に位置するポケットで、「ピスポケット」とも呼ばれることがあります。 これらのポケットを理解し、日常での着こなしに活かすことで、スーツスタイルが一段と洗練されるでしょう。
スーツのポケットが語る歴史と機能
スーツのポケットは単なる装飾や便利な収納場所以上の意味を持っています。 その形状や位置は、西洋の貴族文化や歴史的背景、さらには具体的な用途に基づいて進化してきました。 ここでは、スーツのポケットがどのように発展してきたのか、そしてその多様なデザインが持つ意味について詳しく解説します。
貴族の服装から派生したスーツの進化
スーツが今日の形になるまでには、多くの歴史と文化が影響を与えています。 貴族が着用していた服装にもその起源を見ることができ、狩猟や社交場でのエチケットなど、多くの要素が組み合わさっているのです。 特にポケットに関しては、狐狩りで使う替え弾を入れたり、執務中にペンを挿しておくためのものなど、機能性が高く設計されています。
ポケットの位置と形状の意味
ジャケットやベスト、パンツに施されたポケットは、それぞれの位置と形状に独自の意味があります。 例えば、胸ポケットは主に名刺や小物を入れるため、またサイドポケットは手を暖める場所としても使われます。 これらのポケットがどのようにして選ばれ、設計されたのかを理解することで、スーツ選びにも役立つでしょう。
ドレスコードとポケットの選び方
スーツのポケットは、その配置や形状によってもドレスコードに影響を与えることがあります。 ビジネスシーンやフォーマルな場で、ポケットのデザインを理解していると、その洗練されたセンスが自然と周囲に伝わります。 ポケットの数や形、配置方法などを選ぶ際には、着用するシーンや目的に応じて選びましょう。 これらのポイントを押さえることで、スーツのポケットが持つ深い歴史と意味を理解し、より一層その魅力を感じることができるでしょう。
スーツのポケットに関する疑問・質問
スーツのポケットに関する以下の疑問・質問についてまとめていきます。
冠婚葬祭でのポケットマナーはありますか? 面接や就活時の正しいポケットマナーはありますか? オーダースーツでは好みのポケットを選べますか? スーツの内ポケットの正しい使い方は? ポケットチーフの選び方や折り方について教えてください ビジネスシーンでのポケットマナーはどのように異なりますか? ポケットのデザインが異なるスーツはどのようなシーンで着用すべきですか?冠婚葬祭でのポケットマナーはありますか?
冠婚葬祭の場では、ポケットの使い方にもエチケットがあります。 特に葬儀では、ポケットチーフを胸ポケットに入れるのは避けましょう。また、葬儀の際はポケットのフラップ(蓋)を中に仕舞っておくのが一般的です。 一方、結婚式などの華やかな場では、色や柄のあるポケットチーフを使っても問題ありません。
面接や就活時の正しいポケットマナーはありますか?
面接や就職活動の際も、ポケットのフラップは中に仕舞う方が無難です。 ただし、企業や業界によってはフラップを出しておくスタイルもありますので、事前に調査をしておくとよいでしょう。
オーダースーツでは好みのポケットを選べますか?
オーダースーツを選ぶ際は、複数のポケットスタイルから選べます。例えば、パッチポケット、フラップポケット、ジェットポケットなどです。 シーンや用途に応じて、自分の好みに合ったポケットを選ぶことができます。
スーツの内ポケットの正しい使い方は?
内ポケットは主に見えない場所にありますが、その使い方一つでスーツのシルエットが崩れることも。 特に大きな財布や携帯電話を入れてしまうと、スーツの形が崩れやすくなります。 内ポケットにも種類があり、それぞれに適した用途があるので、上手に使い分けましょう。
ポケットチーフの選び方や折り方について教えてください
ポケットチーフはスーツスタイルにアクセントを加える小物です。基本的な折り方はTVフォールドやスリーピークスなどがあり、場面やスーツのスタイルに応じて選びます。 ここではポケットチーフの基本的な折り方であるスリーピークスの折り方についてご紹介します。方法は以下の通りです。
ポケットチーフを正方形に広げ、ダイヤモンド形に配置する 下部の角を上部の角に合わせて、三角形に折る 三角形の左側の角を、中央の角の少し右側に折る 同様に、三角形の右側の角を、中央の角の少し左側に折る ポケットチーフの下部を少し折り込み、ポケットに挿入する ポケットからは三つのピークが見えるように調整する色や柄も多種多様で、個々のファッションセンスが光るアイテムと言えます。
ビジネスシーンでのポケットマナーはどのように異なりますか?
ビジネスの場では、ポケットに物を詰め込むことは避け、シンプルなポケットチーフを控えめにアレンジするのが一般的です。 特に大切な商談やプレゼンテーションでは、ポケットマナーも評価されるポイントとなり得ます。
ポケットのデザインが異なるスーツはどのようなシーンで着用すべきですか?
ポケットのデザインによっては、カジュアルな場面やフォーマルな場面で使い分けが可能です。 例えば、フラップなしのジェットポケットはフォーマルな場に、パッチポケットはカジュアルな場に適しています。オーダースーツを選ぶ際は、これらのポイントを考慮するとよいでしょう。
ポケットの機能を理解して上品さを演出しよう
今回は、スーツのポケットについて、その歴史から具体的な名称、機能について分かりやすく解説してきました。 その他、パンツに付属するポケットについても、意外な発見があったのではないでしょうか。 それぞれポイントを押さえて、正しく上品なスーツスタイルを演出できるようにしていきましょう。